急激に悪化する消費マインド~消費減が続く負のスパイラルの懸念も~<2020・05・21>

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最終更新日: 2020年5月21日

急激に悪化した長野県消費者態度指数

    当研究所は四半期毎に県内の消費者を対象とした消費動向調査を実施している。4月の同調査によると、消費者心理を示す長野県消費者態度指数(原指数)は前回調査比12.8ポイント低下の26.9となった。これは比較可能な2016年7月以降では最低の水準で、下げ幅も最大となった。
   新型コロナウイルスの感染拡大は、消費マインドを急速に悪化させている。

コロナ下で奪われる消費機会

 新型コロナによる消費の変化では、約3割の世帯で消費を減少させたと回答している。内容は、「外食」、「国内旅行」、「飲み会や宴会」などだ。感染防止のために講じている外出自粛対応は、これらの消費の機会を奪っている(「長野県内消費動向調査2020年4月」)。
 一方、消費を増やしている商品もある。感染防止のための「マスク」や「除菌・抗菌用品」、「アルコール消毒液」や、外出自粛によるいわゆる「巣ごもり」の中で日持ちがする「保存食品(冷凍食品・レトルト食品など)」、「麺類」などの食材だ。

長引く感染に伴い減少する収入  

  新型コロナの感染拡大が続く限り、消費マインドの悪化は収まらない。
 世帯の感染拡大の収束時期の予想では、「1年後」が約3割と最も多くなり、それ以上かかるとする回答も約2割となった。このように収束に1年以上かかるとする回答が過半を占め、その間は慎重な消費が続くことは避けられない。
 さらに収入見通しも厳しい。世帯収入の見通しについては、約6割が「減少見通し」としている。そして、収束時期が先になると予想する人ほど、収入減を予想する割合は高い。 

落ち着いた後にも6割は慎重姿勢維持  

  新型コロナが落ち着いた後の消費の見通しについては、約4割が消費を増やすとしている一方、「変わらない」は約4割、「減らす」は約2割と、慎重な見通しは6割となっている。
 収束後には消費マインドのさらなる悪化は収まってくるが、V字回復することは難しい。

収束が長引けば消費減が続く負のスパイラルも  

  つまり、今回の消費動向調査から見えてくるものは、新型コロナ感染下で消費減少が続く負のスパイラルへの懸念だ。
 先行きの不透明感から消費マインドは悪化を続ける。その間、収入が減少することで実際の購買力も失われていく。そして、さらに消費マインドは悪化を続ける。
 収束後も消費の早期回復は難しいがゆえに、一日も早い収束が望まれる。そのためには、ワクチンの早期開発は言うまでもないが、政府の提唱する「新たな生活様式」による感染拡大防止と社会経済活動の両立実現が喫緊の課題となってこよう。
 

 

 

 

  

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