製造業の景況感が一段と悪化<2019・08・13>

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最終更新日: 2019年8月13日

製造業の景況感は6期連続の悪化

   2019年7月に当研究所が行った業況アンケート調査によれば、企業の景況感を示した2019年4~6月期の業況判断DI(業況が「良い」と回答した企業割合-「悪い」と回答した企業割合、%ポイント)は、全産業が△13.8と2期連続で悪化しました。
  業種別では、製造業が△27.2と前期に比べ9.5ポイント悪化しました。製造業の景況感悪化は6期連続となり、これはリーマン・ショック時以来となります。米中貿易摩擦に伴う受注減少や在庫調整などから電気機械を中心に景況感の悪化が続いています。
  一方、非製造業は、△1.6と前期に比べほぼ横ばいとなりました。国内を中心とした底堅い設備投資や教育施設への空調設備工事などに伴い、機械器具卸や建設業などの受注が堅調でした。また、10連休となった大型連休中の観光需要の増加から宿泊業などで景況感が改善しました。
   19年7~9月期は、全産業が△15.2と4~6月期に比べ1.4ポイントの低下見通しとなっています。このうち製造業は△18.4と同+8.8ポイントの改善を見込む一方、非製造業は△12.2と同10.6ポイント悪化する見通しです。製造業の国内需要は、自動車関連の設備投資を中心に底堅さを維持するとみられ、景況感は水面下ながら改善する見通しです。非製造業は、貨物や事業所向けサービス業など先行きへの不透明感が続く製造業関連の業種で慎重な見方が広がっています。 

米中貿易問題に伴う2019年度の製造業の売上高は4割の企業が減収見通し

 米中貿易摩擦の影響の広がりを詳しく知るために「米中貿易摩擦の影響に関するアンケート調査」を同時に行いました。
まず、米中貿易摩擦の県内企業への影響について尋ねると、「既に影響が出ている」という回答が全産業で33.1%となりました。産業別にみると、製造業で「既に影響が出ている」という回答は48.2%となりました。これは、3カ月前の調査結果の42.1%からさらに高くなっており、今回の景況感悪化と重なります。
   また、 米中貿易摩擦に対する対応策の有無を尋ねたところ、対応策が「ある」と回答した企業は全産業で28.4%となりました。3カ月前の調査結果の24.2%からやや高くなりましたが、対応策のある企業は一部にとどまっており、対応の難しさがうかがえます。
さらに、米中貿易摩擦に伴う2019年度の売上高への影響についても尋ねました。全産業では「減少見通し」は32.6%となりました。特に製造業で「減少見通し」が42.3%となっており、減収は240億円の見通しとなっています。この減収額をもとに、名目県内総生産(名目GDP)に及ぼす影響を試算したところ、2015年度の長野県の名目GDPを0.49%押し下げる試算結果となりました。
   今後、米中貿易問題の長期化が予想される中、来期7-9月期には景況感の悪化に歯止めがかかるのかどうか、引き続き海外経済の動向を注視していく必要があります。
 

(初出:2019年8月8日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

 

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