緊急事態宣言解除で業況感がプラスに~長野県企業業況アンケート調査より<2022・01・31>
2021年10 -12月期、長野県企業の景況は3年振りのプラス水準に
長野県企業の2021年10-12月期の業況判断DIは、+5.9と3年振りにプラス水準に顔を出した(長野経済研究所「2021年10-12月期業況アンケート調査」)。
21年9月末に緊急事態宣言が解除され、非製造業の景況感が27.2ポイント上昇しマイナス7.2に持ち直したという要因が大きい。
振り返ると、コロナ禍となって緊急事態宣言の都度、長野県の飲食、観光業を中心とした非製造業の業績は下押しされてきた。
一方、製造業は今期3.5ポイント上昇し+21.0と21年7-9月期以降6期連続の改善となっている。コロナ禍でのリモート勤務の拡大等がパソコン関連や家電需要を押し上げた。また世界的な5Gの普及が関連資材の需要も押し上げた。自動車販売も好調であり根強い需要が続き、想定外の需要増加に半導体の供給が追い付かないという状況に至っている。
21年7-9月期まではコロナ禍で回復する製造業と低迷する非製造業というK字型と称されるような分断された回復の構図の中、長野県企業の業況判断DIは全体としてはマイナス水準にあった。
今回調査の21年10-12月期は、低迷する非製造業が持ち直すことで、K字型に開いた格差はいくぶん縮まり、「景況感は3年振りのプラス水準」となった。
オミクロン株の感染拡大で景況感は再び悪化見通し
このまま持ち直しを続けると思われたが、年明けとともにオミクロン株の感染が急速に拡大してきた。
沖縄県、広島県、山口県等が1月9日にまん延防止等重点措置を適用したのを皮切りに、適応は全国に広がった。1月31日時点では、長野県を含む全国34の都道府県でまん延防止等重点措置が適用されることとなった。
県内のホテル・旅館に入っていた宿泊予約はキャンセルが増え、再び多くのイベント中止が広がり、街の明かりも暗くなっている。
関連事業者の落胆は大きく1-3月期に対する見方は厳しい。業況感は再び悪化見通しだ。
一方の製造業にも改善の動きにブレーキがかかっている。半導体を中心とした資材不足や価格の高騰といった供給面での制約がより厳しくなっている。エネルギーや鉄、アルミ、銅などの価格高騰は収まる気配はなく、加えて、1-3月期には半導体不足を理由とした自動車メーカーの工場の稼働停止も発表されている。また、ここにきてコロナ感染者の増加に伴う工場や営業所の一時休業も相次いでいる。
今後の景気の留意点、一番は御開帳・御柱祭の成功を
今後の長野県経済を見る上での当面の留意点は、(1)原料や部材など仕入れ価格上昇、コロナ感染拡大に対して製造業の回復の持続力はどうなのか。(2)非製造業では、まん延防止等重点措置の影響がどこまでのマイナス要因となっていくのか・・・などの点だ。
そして、次の4-6月期にまで視点を転ずると、もう一つの留意点がある。
善光寺御開帳、諏訪大社御柱祭というビッグイベントの成功の行方だ。
今回の調査結果からも明らかなように、長野県企業の業況感を浮上させていくためには観光、飲食などサービス業を中心とした非製造業の更なる回復が必要だ。
そのためには、これらのビックイベントを何が何でも成功させ、その起爆剤としていかなくてはならない。
開催地の感染防止対策もさることながら、その都度の人流抑制策による経済へのマイナス影響の大きさを考え合わせるなら、新型株の感染拡大のないことを祈るしかない。
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