新型コロナウイルス感染拡大の影響が広がる長野県経済<2020・4・14>

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最終更新日: 2020年4月14日

先行きの景況感はさらに悪化を予想

   新型コロナウイルスの感染が日を追うごとに大きくなっており、県内企業にもその影響がさらに広がり始めています。4月1日に公表された日本銀行松本支店の短観によると、企業の景況感を示した業況判断DI(「良い」と回答した割合から「悪い」の割合を引いた値)は、全産業でマイナス14.0と前回調査に比べ7ポイントの悪化となり、先行き3カ月先のDIもマイナス25と11ポイント悪化する見通しとなっています。このうち製造業では、マイナス17と前回から横ばいとなりましたが、先行きはマイナス27と10ポイントの悪化見通し。非製造業では、マイナス9と13ポイントの悪化、先行きはマイナス22と13ポイントの悪化見通しとなっています。
 こうした中、今回特に大きな悪化を示した業種は、宿泊・飲食サービス業で、DIは前回調査のプラス33から78ポイント悪化しマイナス45となっており、先行きも22ポイント悪化しマイナス67となる見通しです。 

感染拡大は、県内企業の8割に影響

 こうした影響は、当研究所の緊急アンケート「新型コロナウイルスの影響に関するアンケート調査」でも明らかになっています。本アンケートは3月中旬から下旬に当研究所の会員企業4,200社に対し実施し、548社から回答を得ました。
 まず、新型肺炎の感染拡大に伴う自社への影響を尋ねると、「既に影響が出ている」という回答は53.5%、「現状影響は出ていないが、今後出る見込み」が31.8%、「影響はない見込み」が14.8%となりました。主要4業種別でみると、「既に影響が出ている」という回答は、サービス業が64.8%と最も多く、次いで卸小売業、(58.2%)、製造業(52.3%)などとなっており、それぞれ半数を超えています。最も影響が大きいサービス業のうち、特に飲食業、ホテル旅館業、旅客業では全ての企業(100%)が「既に影響が出ている」という回答を寄せています。 

手痛いマイナスの影響

 具体的な影響では、一部で「感染予防用の製品の需要増加」といったプラスの影響もみられますが、ほとんどがマイナスの影響の回答となっています。マイナス影響の内容は「国内での生産・販売・サービス活動等の縮小」が37.3%と最も多く、次いで「日本人の外出控え・キャンセル等の増加」(36.2%)、「中国からの製品・部材等の調達に支障」(30.7%)などとなっています。多くの影響が生じている飲食業、ホテル旅館業、旅客業では、「日本人の外出控え・キャンセル等の増加」が最も多くなっています。
 また、今後の対応策では、全産業を見ると「生産・販売計画の見直し」が37.7%と最も多いのに対し、飲食業、ホテル旅館業、旅客業では「当面の資金確保」が最も高くなっています。急激な売り上げ減少による資金繰り難が多くのサービス事業者を苦しめている状況がうかがえます。

「3密」を避けることの各自徹底こそ

 新型コロナウイルスによる景気悪化を防ぐための特効薬は、治療薬や予防のためのワクチン開発に成功することですが、現段階ではまだ目途が立っていません。そうした中で、私たちにもできることは、感染拡大を防ぐための、3密「密閉」「密集」「密接」を避けることを各自が徹底することでしょう。
 感染が収まらないことには経済活動が活発化することはあり得ないからです。3密を避けることの徹底こそが今我々に求められる経済対策のように思われます。

 

(初出:2020年4月8日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

 

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