高水準続く県内企業の2018年度設備投資計画
全産業の2018年度の設備投資計画額は、前年度実績見込に比べ21.9%の増額計画
当研究所は、県内企業約700社を対象に「設備投資動向調査」を年2回実施しています。4月には年度の当初計画を調査し、10月には年度の実績見込額と当初計画に対する修正状況を調査しています。今回は、4月に実施した県内企業の18年度当初計画の状況をご紹介します。
18年度当初計画額は、全産業で前年度実績見込額に比べ21.9%の増額計画となりました。業種別では、製造業が同+28.5%、非製造業も同+6.0%の増額計画となりました。当初計画時点で製造業・非製造業ともに前年度に比べ増額計画となるのは2年連続です。
企業の投資に対する姿勢を尋ねた「投資方針」(かなり積極的・やや積極的・やや抑制的・かなり抑制的から選択)でも、「積極的(かなり積極的+やや積極的)」の回答割合が全産業で61.4%となりました。前年度に比べ割合は低下したものの引き続き高い水準であり、投資姿勢の積極性が確認できます。
製造業の増産投資が全体を押し上げ
18年度当初計画が増額計画となった背景として、世界経済の拡大があります。世界的な需要拡大から、輸出向け製造業にけん引され、自動車関連をはじめ半導体関連需要の増加から増産に向けた活発な投資が続いています。
製造業の中でもとりわけ機械系業種である一般機械、電気機械、輸送用機械などの投資計画に積極姿勢がみられます。一般機械は、自動車関連など自動化に向けた設備需要の増加等を背景に、生産拡大のための新工場建設や生産ラインの増設・更新といった積極的な投資がみられ、当初計画額は前年度実績見込比+38.5%の大幅な増額計画です。また、投資方針が「積極的」な投資方針の企業割合が74.2%と製造業で最も高くなっています。電気機械は、需要が拡大している半導体関連分野を中心に、生産拡大に向けた工場増設や増産のための設備更新といった積極的な投資がみられ、同+20.4%の増額計画となりました。また、「積極的」な投資方針の割合も73.7%と、一般機械に次いで高くなっています。このほか輸送機械でも生産能力増強のための投資が多くみられます。
注目される米国の通商政策の行方
今年度の設備投資額は高水準を維持するとみられますが、県内企業へのヒアリングではいくつか懸念の声も聞かれます。その1つが、米国の強硬な保護主義政策による世界経済への影響です。今後、中国などとの通商摩擦が深刻化すれば、順調な貿易が停滞し、間接的に企業の投資にも影響を及ぼしかねません。また米国が5月に発動した通商拡大法に基づく自動車と同部品についての輸入制限の措置の影響も懸念されます。日本からの自動車関連製品の輸入が米国の安全保障を脅かしていると判断されれば、自動車部品などに高い関税が課され、日本からの輸出に影響を与える可能性があります。今後の景気動向や設備投資をみる上で、事態の状況を注視していく必要があるでしょう。
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