製造業の好調続くも海外リスクを注視

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最終更新日: 2018年5月15日

製造業で「晴れ」が多い県内主要産業の天気図

    当研究所は、四半期ごとに長野県内の業界の景況感を調査するため、県内企業約160社を対象に「産業別四半期見通し調査」を実施しています。今回は4月調査の結果についてご紹介します。
   本調査は、アンケート調査とヒアリング調査をもとに、県内産業の「現況」や「見通し」を天気マークで表しています。「晴れ」は「好調」、「薄日」は「順調」、「曇り」は「普通」、「小雨」は「低調」、「雨」は「不調」としています(図表)。
  4-6月期の見通しを産業別にみると、製造業では好調な設備投資需要を背景に「工作機械」のほか「半導体製造装置」「産業用機器」、「電子部品・デバイス」、「光学・計器」が「晴れ」の見通しとなっています。このほか「自動車部品」「プラスチック製品」が「薄日」の見通しです。非製造業では、「大型小売」で「小雨」が続く一方、「機械器具卸」や新型車効果が続く「自動車販売」が「薄日」となる見通しです。全体としては、製造業を中心に晴れや薄日が続く見通しとなっています。

先行きの企業マインドは慎重

    また同時期に行った業況アンケート調査によれば、各企業の業況判断を示した「業況判断DI」(業況が「良い」と回答した企業割合と「悪い」と回答した企業割合の差)は、全産業の1-3月期のDIが6.1と17年10-12月期の7.1から悪化しましたが、4期連続でプラス水準を維持しました。業種別では製造業のDIも24.6と前期に比べ悪化しましたが5期連続のプラス水準となりました。一方、非製造業のDIは△10.5と悪化しました。
   全産業の4-6月期の見通しは3.6と低下する見通しです。製造業は24.0とやや低下するものの、プラス水準を維持する見込みです。一方、非製造業も△14.8へ低下する見通しで、製造業に比べると慎重な見通しの企業が多くなっています。 

リスク要因は海外の保護主義的な動き

    当面は世界経済の緩やかな拡大が続くことが予想されることから、長野県経済も製造業を中心に景気は緩やかな回復を辿ることが予想されます。そうした中で今後のリスク要因として挙げられるのが、不透明な海外情勢です。その1つが米国のトランプ政権が掲げる通商政策に対する世界経済への影響です。米国の貿易赤字削減に向けた輸入制限など保護主義的な動きが強まれば日本経済への影響は避けられないと思われます。
   また、この動きに対する中国の対抗的な措置は、日本のみならず世界的な貿易の縮小につながる可能性があります。米中の2つの経済大国の保護主義的な動きは、今後の大きなリスク要因といえます。
   当面は旺盛な需要に支えられ工場がフル稼働の企業も多いですが、こうした海外リスク要因が顕在化し、需要が冷え込むようなことがあれば、好調な製造業に影響が及ぶ可能性もあり、今後の動向を注視していく必要があります

(初出:2018年5月10日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

 

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