製造業の回復鮮明に、強まる人手不足感
製造業の業況判断DI、98年以降最も高く
当研究所は、四半期ごとに長野県内企業の景況感を調査するため、約700社を対象に「四半期別業況アンケート調査」を実施しています。今回は7-9月期の調査結果についてご紹介します。
各企業の景況感を示す業況判断DI(業況が「良い」と回答した企業割合-「悪い」と回答した企業割合)は、全産業が+5.1(4-6月期+1.7)となり、2期連続でプラスとなりました。業種別では製造業が+18.2と4期連続で改善し、比較可能な98年以降で最も高くなりました。非製造業は△5.6と水面下ながら前期に比べ4.5ポイント改善しました。
10-12月期の見通しは、全産業が+4.4とやや低下する見通しです。業種別では、製造業が+18.7と高い水準を維持する一方、非製造業は△7.5とやや低下する見通しとなっています。
製造業の明るさ続く
また、同時期に長野県内の主要17業種の景況感を調査するため、県内企業約160社を対象に「産業別四半期見通し調査」も実施しています。本調査は、アンケート調査とヒアリング調査をもとに、県内産業の現況や見通しを天気マークで表しています。「晴れ」は「好調」、「薄日」は「順調」、「曇り」は「普通」、「小雨」は「低調」、「雨」は「不調」としています。
10-12月期の見通しを産業別にみると、製造業では半導体需要の増加を背景に受注が好調な「半導体製造装置」が前期に引き続き「晴れ」のほか、車載用電子制御装置の需要増加や新型スマートフォンの量産対応などから「工作機械」、「産業用機器」、「電子部品・デバイス」、「自動車部品」など6業種が「薄日」の見通しです。
非製造業では、新型車効果が続く「自動車販売」のほか、製造業の設備投資需要の増加から「機械器具卸」で「薄日」を維持する見通しです。一方、建築需要が一段落した「民間工事」が「曇り」のほか、衣料品販売が伸び悩む「大型小売」が「小雨」となっています。
県内企業や業界の景況感は、前期に引き続き製造業を中心に明るさ広がっています。
人手不足の中、省力化等の設備投資増加に期待
大型小売で小雨が続いているように個人消費には力強さは感じられない状況ですが、製造業では生産の動きが活発で、国内の設備投資も回復傾向にあります。内閣府が10月11日に公表した8月の機械受注統計(船舶・電力を除く民需、季調値)は、2カ月連続で前月を上回っています。設備投資の先行指標として注目されている指標が改善傾向にあることは、明るい材料と言えそうです。同様に県内でも設備投資に明るさが見え始めています。10月に公表された日銀短観(長野県分)によれば、製造業、非製造業の17年度設備投資計画が上方修正されました。当研究所でも11月公表に向けた2017年度設備投資動向調査(修正計画)を現在、取りまとめています。中堅中小企業の方のお話を伺うと人手不足感が強まる中、省力化投資などに踏み出したというお話が聞こえるようになってきています。
こうした設備投資の増加が生産増加につながり、さらには所得の増加を通じて個人消費にも波及していくのかが注目されます。
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