景況感の改善続く

印刷

最終更新日: 2017年8月15日

製造業の業況判断DIは98年以降最高に

   当研究所は、四半期ごとに長野県内企業の景況感を調査するため、約700社を対象に「四半期別業況アンケート調査」を実施しています。今回は4-6月期の調査結果についてご紹介します。
 
各企業の景況感を示す「業況判断DI」(業況が「良い」と回答した企業割合-「悪い」と回答した企業割合)は、全産業のDIが+1.7(1-3月期△0.5)となり、8期ぶりにプラス水準を回復しました。業種別では製造業のDIが+15.2と3期連続で改善し、比較可能な98年以降で最も高くなりました。
 
7-9月期の見通しは全産業が0.0と低下するものの、製造業は+13.6と高い水準を維持する見通しとなっています

明るさ広がる県内主要産業の景況感

    また、四半期ごとに長野県内の業界の景況感を調査するため、県内企業約160社を対象に「産業別四半期見通し調査」も実施しています。本調査は、アンケート調査とヒアリング調査をもとに、県内産業の現況や見通しを天気マークで表しています。「晴れ」は「好調」、「薄日」は「順調」、「曇り」は「普通」、「小雨」は「低調」、「雨」は「不調」としています。
 7-9月期の見通しを産業別にみると、製造業では国策により半導体を増産する中国向けを中心に受注が好調な「半導体製造装置」が「晴れ」のほか、車載用電子制御装置の需要増加や国内自動車販売、新型スマートフォンの量産対応などから「工作機械」、「産業用機器」、「電子部品・デバイス」、「プラスチック製品」など6業種が「薄日」の見通しです。
 非製造業では、「大型小売」が「小雨」の一方、新型車効果が続く「自動車販売」と新設住宅などが底堅く推移する「民間工事」が「薄日」を維持する見通しです。「ホテル・旅館」は、信州デスティネーション・キャンペーンによる宿泊利用の増加が期待され、「曇り」ながら方向感は上向く見通しです。このように県内企業や業界の景況感は、製造業を中心に明るさ広がっています。 

賃金上昇が消費の押し上げにつながるか

    製造業は明るさが広がる一方で、非製造業は改善に遅れがみられます。大型小売は、小雨が続いており個人消費に力強さが感じられない状況にあります。こうした背景には、将来不安に加え所得環境が改善しないことがあると考えられます。
 長野県が7月に公表した「2017年度春季賃上げ要求・妥結状況調査結果」によれば、平均妥結額は2年ぶりに前年同期を上回り、リーマンショック以降では2番目に高い結果となったほか、平均賃上率も、前年同期を0.12ポイント上回る1.62%となりました。また妥結した組合のうち、ベースアップを実施した組合は 61.8%にあたる 107組合、この割合は前年同期を0.1ポイント上回り、2015年の集計開始以来最も高くなりました。このように賃上げの動きがみられる中で、今後、賃金上昇が消費者の財布のひもを緩め消費増加につながるのかが注目されます。

(初出:2017年8月9日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

 

関連リンク

 

このページに関するお問い合わせ

産業調査

電話番号:026-224-0501

FAX番号:026-224-6233