「見えない」を計測しインフラを守る~技建開発(株)<2026・01・24>
「ものづくり大賞NAGANO2025」大賞を受賞
技建開発(株)は、飯田市に本社を置く建設コンサルタント企業で、インフラメンテナンス分野で数多くの技術を保有している。中でも大きな注目を集めているのが、車載型非破壊検査システム「CQドクター」である。これは、道路や橋梁の内部損傷を走行しながら検出できる革新的技術であり、2025年には「ものづくり大賞NAGANO」の大賞を受賞した。技術革新性と社会的貢献度の両面が評価されたものである。
CQドクターは、電磁波レーダーを車両下部に搭載し、さらに高精度のRTK-GPSと高性能360度カメラを組み合わせることで、一般車と同じ走行速度で非破壊のままコンクリート内部のひび割れや空洞を検出できる。位置精度は誤差10センチ以内と極めて高く、従来の目視点検や打音検査に比べて格段に効率的かつ安全である。
走行するだけで多量の点検データを取得できるため、道路規制を最小限にし、現場の負担やコストを大幅に削減できる技術である。
CQドクターの検査精度と技術的優位性
CQドクターで取得したデータは、社内でCSV化された後、縦断・横断・深度方向の画像として解析される。さらに、健全部を青、異常部を黄・緑で色分けし、ドローン撮影のような俯瞰画像へ重ね合わせることで、橋梁上の損傷位置が視覚的に明確になる。この可視化によって、点検結果の説明が容易になり、発注者側の理解促進や修繕計画の立案に大きく寄与する。
同技術は、国土交通省や土木学会が関わる第三者機関による標準試験で、損傷検出率89%という高い結果を示した。特に、鉄筋コンクリート内部に発生しやすい「水平ひび割れ」を唯一検出した技術として認められた点は重要である。こうした性能は、点検のDX化、予防保全の高度化が求められる現場において大きな価値を持つ。
同社は検出精度の向上を目的に微破壊調査を実施した。直径5ミリの穴を開けて内部状況を確認したところ、CQドクターが示した異常箇所とすべて一致し、その信頼性が実証されている。
技術者集団としての強みと社会的役割
技建開発の強さは、技術だけでなく人材育成にもある。同社には延べ50名以上の技術士が所属し、建設コンサルタント登録21部門中11部門をカバーする体制を構築している。社内には技術士養成講座が設けられ、専任講師による研修を通じて毎年合格者を輩出している。さらに、技術士合格者には100万円の報奨金を支給するなど、人材育成への投資を惜しまない企業文化を持つ。
また、外国籍の技術者を技能実習ではなく直接雇用する方針をとり、現在14名が在籍するなど、多様で高度な技術者集団を形成している。
日本全国では、橋梁の高齢化が急速に進んでいる。50年以上経過した橋梁は今後10年で63%に達する見込みであり、老朽化対策は喫緊の課題である。長野県においても高齢橋梁は増え続け、20年後には8割を超えるとされる。この状況下で、非破壊・高速・高精度の点検技術であるCQドクターは、予防保全型の維持管理を進めるための極めて重要な手段となる。
同社は、技術革新と人材育成の両輪を武器に、社会インフラの安全性と持続性を支える存在として、今後もその価値を高めていくのではないだろうか。
(資料)(資料)SBC「明日を造れ!ものづくりナガノ」(2026年1月24日放送)
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