北海道日本ハムファイターズのチーム作り<2025.10.27>
日本ハムファイターズのチーム力向上
今年のプロ野球は、ともにリーグチャンピオンの阪神タイガースと福岡ソフトバンクホークスが激突し、大変盛り上がっています。
ただ、私はそのソフトバンクホークスに惜しくも敗れた北海道日本ハムファイターズの大ファンなので非常に残念な気持ちがあるのですが、一方でここ数年、ファイターズのチーム力向上が結果につながり嬉しく思っています。そこで今回は、新庄剛志監督を中心とした日本ハムファイターズのチーム作りについて、会社組織や職場作りにも参考になるポイントをご紹介したいと思います。
新庄監督のチーム作り
近年のファイターズの戦いぶりについて簡単に紹介すると、新庄監督の就任1年目となった2022年、2年目の23年は最下位に沈みました。そして、3年目となった24年は首位のソフトバンクホークスに大差を付けられながらもリーグ2位と躍進し、4年目の今季は前半で首位に立ち、後半はソフトバンクと僅差の争いを続け、最終的には2位となりました。日本シリーズ進出を決めるクライマックス・ファイナルステージでも序盤劣勢の状況から粘って勝利を重ね、あと一歩という所まで王者ソフトバンクを追いつめるなど、投打で昨年以上の強さを発揮しました。
そんなファイターズを率いる新庄監督のチーム作りを見ると、まず目に付くのは、選手のモチベーションの高め方が上手いという点です。例えば、監督就任1年目で結果が出ない中、若手も含めて選手全員に一軍での出場機会を与え、チーム力の底上げを図りました。今季も重要な試合で敢えて経験の少ない選手を抜擢し、選手自身の成長につなげることを意識した采配を見せました。中には、結果が出ず失敗してしまう選手もいましたが、次回を見据えてフォローするとともに、次に成功した時にはベンチで誰よりも喜んで選手を称える姿が印象的でした。これにより選手のモチベーションは高まり、次も頑張ろうという意識になっているのだと思います。
組織作りで重要な心理的安全性
このように、失敗を恐れずに挑戦できる雰囲気や、それによって生まれるチーム内の信頼関係は、「心理的安全性」の向上にもつながっています。心理的安全性とは、「組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態」のことであり、これが高い組織では、メンバー同士のコミュニケーションが活発化して協力関係が生まれ、成績向上やメンバーの能力伸長、多様な価値観に基づくアイデア創出などにつながります。
まさにファイターズもチーム内のコミュニケーションが活発に行われ、以前は新庄監督の常識破りな作戦に対して戸惑う選手も多かったのですが、現在ではどんな指示や作戦に対しても選手がその意図をすぐに理解し、自身の能力を最大限に発揮して臨む準備が出来ているようです。その結果、今季、相手にリードを許す困難な状況に陥っても、選手たちがチームを信じて思い切ってプレイすることで何度も逆転やサヨナラ勝利を掴み取ってきました。
会社や職場でも、立場や経験に関わらず、誰もが率直に意見や話をしやすい雰囲気を作り、互いに協力し助け合える体制を築くことで、前向きに挑戦できる環境を整えられるといえます。
強い絆でさらに強いチームを
2024年のシーズン終了後、新庄監督の去就が注目された際に、チームのエースである伊藤大海投手がまだ監督と一緒にやりたいとして、「“監督どこにも行かないで運動”をしなきゃいけない」と発言し話題になりました。これも選手と監督の強い絆を象徴するエピソードだと思います。
新庄監督は来年(2026年)、5年目のシーズンを戦います。ぜひとも、これまで以上に成長した強いチームを作り上げ、悲願のリーグ優勝、そして日本一を達成して欲しいと願っています。
2025年10月27日放送 SBCラジオ「あさまるコラム」より
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