働きがいをもって幸せになろう~連合長野 2025地域活性化フォーラムより~<2025・08・25>

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最終更新日: 2025年8月25日

基調講演「最近の経済情勢~今年度の賃上げの状況について」

 8月2日に連合長野の「地域活性化フォーラム」が開催され、そこで「賃上げと働きやすさ・働きがい、地域活性化」等をテーマに議論が行われた。そこで基調講演を担わせていただき、パネルディスカッションにも参加したので、今回はそこで興味深かった議論をご紹介したい。

 基調講演では、長野経済研究所が実施した「県内企業の賃上げ動向」に関する調査結果の報告から始めた。

 当研究所の調査によると、2025年度の賃上げは「実施済み」と「実施予定」を併せ86%と、多くの企業が賃上げに臨んでいる。賃上げの目的をみると、一番多い回答は「従業員の定着」、次いで「物価への対応」、「従業員の確保」と続く。

 つまり、現状の賃上げの目的は、物価への対応もさることながら、人手不足への対応が主となっている。

 人手不足下において、従業員の定着は重要な経営課題となっている。

 そこで、改めて「従業員の定着に効果がみられた取り組み」について尋ねると、「賃上げ」のほかに「育児・介護休暇」「短時間勤務制度・フレックス制度」など「働きやすい職場環境」。そして、「公正な人事制度」や「人材育成制度の充実」「従業員に対する表彰制度」など「働きがい」を高める取り組みが上位に上げられていた。

人はパンのみにて生きるにあらず

 我々が働くのは、まず生活するためのお金を稼ぐ必要がある。だから物価が上がったら、相応に賃金が上がることは欠かせない。

 しかし、そこで長い間、働き続けたり、さらに頑張って成果を出すためには、それだけでは十分ではない。働きやすい職場環境があって、そこで安心して働けるという基盤。その基盤の上でしっかりと成果をだして、会社のため、世のため人のために貢献し、その手ごたえがあるという「やりがい」が必要だ。

 「人はパンのみにて生きるにあらず」という言葉のように「働きがい」があってこその仕事だと思う。

 職業人にとっての幸せとは、働きがいが見いだせて、その先にあるのではないか。

 このようなまとめを行い基調講演を終了した。

パネルディスカッション~働きがいを高めるには

 「働きがい」を高めるためには、具体的に何が必要だろうか。このようなことを中心にパネルディスカッションでは意見を交わした。

 先のアンケート結果で紹介した取り組みのほか、「上司の役割」の重要性が強調された。

 例えば、社員が「この仕事はなんのためにやるのか」という疑問を持った時、上司がその仕事の意味や価値をきちんと伝えられるのかどうかということだ。

 細かい部品を作っていたり、ルーチンワークの事務作業をしていても、「この部品は最終的に〇〇という製品になり、世の中のこういった役に立っている」「あなたの正確な事務処理が、顧客との信頼関係を築き、わが社の発展に貢献している」など、社員のミッション・使命や仕事が持つ社会的な意義を伝えることが、働きがいを大きく向上させる。

 また、上司が「責任は自分が取るから、好きにやってみろ」と部下に声をかけることも非常に重要だそうだ。この一言が、部下にチャレンジする勇気を与える。それが成功体験につながり、さらなる働きがいへと結びつく。

 賃上げと働きやすさ・働きがい、両方を追求し、その中で幸せな社員を育てていくことが、今時の企業経営や組合活動には求められるのだと思う。


(初出)SBCラジオ 飯塚敏文のあさまるFriday 2025・8・8放送

 

 

 

 

 

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