暮らしに寄り添うD2Cブランドの挑戦〜ケラッタ(株)<2025・07・22>

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最終更新日: 2025年7月22日

国内ECモール3冠のファブレス企業 

 ケラッタ(株)(長野県塩尻市)は、ベビー・マタニティ用品を中心に、介護・ペット・クラフト分野まで幅広く展開する企業である。2016年の創業以来、D2C(Direct to Consumer)モデルを軸にインターネット販売に注力してきた。

 2025年にはAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングという国内三大ECモールすべてにおいてアワードを受賞する快挙を達成した。

 同社は自社工場を持たず、企画・開発に特化するファブレス型の経営スタイルを採用している。製造はすべて外部パートナーに委託しており、現在では信頼できる製造パートナーを40社以上抱えている。この体制により、品質と供給体制の両面で安定したものづくりを実現しながら、企画開発に経営資源を集中できる強みを備えている。

顧客の「今ほしい」に寄り添う商品づくり

 同社の最大の魅力は、顧客の「今ほしい」に寄り添う商品づくりである。ECサイトに寄せられるレビューを毎日確認し、改善率は約7割に上るなど、利用者の声を即座に製品に反映する開発体制が整えられている。

 商品ラインナップは豊富であり、ヒップシート・抱っこ紐、ベビー寝具、おむつ用品など多岐にわたる。中でも「おむつ防臭袋 moshi moshi」は、使用後のおむつの匂いを閉じ込める機能から災害備蓄品としても注目され、累計1,400万枚以上を販売するヒット商品となっている。

 さらに、猛暑対策として開発された「ひんやりベスト」や「ひんやり保冷ファンシート」などの夏季向け製品も人気を集めている。
 「ひんやりベスト」は、接触冷感素材と保冷剤を組み合わせた“着る保冷剤”として、子どもの通園や公園遊びに最適なアイテムであり、熱中症対策として注目されている。
 「ひんやり保冷ファンシート」は、ベビーカーに取り付けることで、熱せられた道路からの輻射熱を遮断しつつ、内蔵ファンによって爽快な冷風を赤ちゃんに届ける新感覚のアイテムである。

暮らしの中の「困りごと」に寄り添う姿勢

 社内文化においても、同社の柔軟性は際立っている。社員の7割以上が女性であり、半数以上が子育て中の社員で構成されていることから、多様なライフスタイルを受け入れる働き方を推進している。

 社員同士がニックネームで呼び合う風通しの良い関係性や、社長との1on1ミーティングの実施など、社員が主体的に意見を出しやすい環境づくりを重視している点も特徴である。こうした文化は、商品開発においても利用者目線を取り入れる土壌となっており、暮らしに寄り添う製品づくりを支えている。

 地域社会への貢献にも積極的である。販売できなくなった新品を行政や福祉団体に寄贈する「ケラはぐくみプロジェクト」では、2025年5月時点で累計4,766点の物資を提供している。さらに、2025年6月には、子ども食堂を運営する「NPOホットライン信州」へスリーパー60点とクラフト製品104点を寄付するなど、地域の子育て世帯を支援する活動も展開している。

 塩尻市との間で「災害時における生活物資の供給協力に関する協定」を締結するなど、地域防災にも貢献しているほか、ふるさと納税の返礼品提供を通じて地域経済の活性化にも寄与している。

 同社は、子育て・介護といった暮らしの中の「困りごと」に寄り添い、生活の質を高める製品を生み出すことで、信州発のブランドとして全国、そして海外へとその価値を広げている。

(資料)SBC「明日を造れ!ものづくりナガノ」(2025年7月20日放送)

 

 

 

 

 

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