求められる実質賃金の増加

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最終更新日: 2025年4月17日

 

物価上昇により高まる県内消費者の負担感

 スーパーなどに買い物に行くと、食料品など生活必需品の値上がりが感じられます。3月21日に公表された長野市の消費者物価指数(2025年2月分確定値)をみると、全品目の加重平均値である総合指数は2020年を100として112.4と前年同月比で+3.6%と42カ月連続で前年同月を上回り、物価は上昇を続けています。

 こうした状況において、県内消費者はどう感じているのでしょうか。25年1月に県内在住の1,000世帯に調査した「消費動向調査」によると、最近の物価に対する感じ方については、「上昇」の回答割合は85.3%となりました。さらに、物価上昇を感じる項目については、「食料品代」が97.8%と最も多く、次いで「ガソリン代」が93.3%、「水道光熱費」が64.1%などとなりました。県内消費者は、生活必需品への物価上昇を強く感じていることがうかがえます。 

停滞する消費マインド

 収入面の変化を尋ねると、収入は増加した(「収入は増加したが物価上昇を補えるほどではない」+「物価上昇を補えるほど収入が増加した」)が28.2%となり、前年同期(24年1月)調査に比べて6.7ポイント上昇しました。ただ、「物価上昇を補えるほど収入が増加した」という回答割合は、同2.2ポイントの上昇にとどまり、物価上昇を考慮した実質賃金の伸びは弱含んでいます。長野県が公表したデータを基に当研究所で算出した、県内労働者の1月の実質賃金は、前年同月比△1.6%と37カ月連続で前年を下回っています。

 さらに、今後の収入の見通しについても、「収入は増加する見通し」が12.2%と低位で、「収入は変わらない見通し」が61.4%と多くを占めます。また、今後の支出の見通しについては、「支出は増加する見通し」が44.8%と最も多い結果となりました。県内消費者は、今後の収入増加への期待は弱く、物価上昇により支出を増加させざるを得ない状況がうかがえます。

 このような状況のため、今後の消費行動は、「抑制的になる」の回答割合が52.0%と、この調査を開始した23年7月調査以降で最多となりました。

求められる実質賃金の増加

 県内の消費者については、物価上昇により消費マインドに大きな影響が出ています。このような状況下で、停滞した消費者マインドを変えていくためには、実質賃金の増加が求められます。春闘での賃上げ率は前年をやや上回る見込みである一方、物価上昇率が依然として高水準にあることから、今後実質賃金の伸びがプラスに転じ推移していくかどうかが注目されます。

 

                                                        (初出:2025年4月17日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

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