長野県民に知られていない伝統的工芸品< 2024・10・29 >

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最終更新日: 2024年10月29日

経済産業大臣が認定した「伝統的工芸品」

   長野県内には、木曽漆器や飯田水引など長年受け継がれてきた技術や技法を用いて作られてきた多くの伝統工芸品があります。この伝統工芸品によく似た言葉で「伝統的」工芸品があることをご存じでしょうか。伝統的工芸品は、国内にある数多くの工芸品の中から昭和49年に制定された「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて、経済産業大臣が認定した物だけを呼んでいます。この伝統的工芸品は、2023年10月23日時点で241品目あり、このうち長野県内では7品目が指定されています。 

長野県の伝統的工芸品を知らない長野県民

  さらに、こうした国の指定の7品目とは別に長野県でも県知事指定の伝統的工芸品があり、24年10月時点で23品目※が指定されています。最近では、今年9月に喬木村の阿島傘と松本市の松本本藍型染の2つの工芸品が新たに県知事の指定を受けました。
   これらの工芸品は、地域の文化や生活に深く根ざしており、観光資源としても重要な役割を果たしています。しかし、伝統的工芸品産業は、現在多くの課題に直面しています。その1つが需要の低迷です。現代の生活様式の変化や安価な輸入品の増加により、伝統的工芸品の需要は減少傾向にあります。また、2つが職人の高齢化や後継者不足も深刻な問題です。多くの職人が高齢化している一方で、若い世代の職人が育っておらず、技術の継承が難しくなってきています。そして3つが原材料の確保です。伝統的工芸品の製造には、特定の原材料が必要ですが、これらの確保が難しくなっており、例えば漆器では、高品質な漆の確保が課題となっています。
   そして何よりも問題とすべきは認知度の低さです。県の調査結果によれば、県内の伝統的工芸品に対する長野県民の認知度は、20%以下の工芸品が6割程度と大変残念な結果となっています。

まずは県民の認知度の向上から

   長野県の伝統的工芸品は、地域の文化や歴史、豊かさを象徴する重要な存在ですが、さまざまな課題に直面しています。こうした中で、まず我々が出来ることの1つが認知度を高めていくことです。例えば、県内のメディアを通じて県内各地の伝統的工芸品を文化的な背景と合わせて紹介したり、県内旅行の際には、各産地への訪問や体験の機会を増やすなど知る機会を増やすことです。また、今後、持続可能な産業として発展させるためにも、子供のころから触れ合う機会を作ることも重要です。
   伝統的工芸品を次代に受け継いでいくためには、まず県民に知ってもらい、各地の子どもたちの身近な存在となっていくことが何よりも大切でしょう。
 ※23品目については、「長野県伝統的工芸品」のホームページ参照 

(初出:2024年10月24日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

 

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