注目されるウォーカブルなまちづくり<2024.2.9>

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最終更新日: 2024年2月9日

国内外で推進されるウォーカブルなまちづくり

 2000年代以降、欧米の主要都市では、車道の広場化や官民連携による公共空間の再生等により居心地の良い空間が生まれ、多様な人々の集積・交流を促して街に活気を呼び戻す動きがみられます。こうした歩行者の回遊性向上は、多様な人々の偶然の出会いや交流を生み、新たなイノベーションの創出や、街の魅力を高める効果が期待されています。国内では近年、国土交通省が「居心地が良く歩きたくなるまちなか」の形成に向け、ウォーカブルなまちづくり政策を推進しています。
 ウォーカブルとは、「Walk」(歩く)と「able」(できる)を組み合わせた造語で、「歩きやすい」、「歩きたくなる」、「歩くのが楽しい」といった語感を持ちます。国土交通省がこれを推進するために19年に立ち上げたプラットフォーム「ウォーカブル推進都市」には、23年12月末時点で全国の自治体361カ所(うち、県内自治体9カ所)が参加し、互いに情報共有等を図ったり補助金等を活用しながら、ハード・ソフトの両面で歩きたくなるまちづくりに取り組んでいます。
 以下では、そうしたウォーカブル推進都市の中から、公共空間や道路の柔軟な活用に取り組むことで市街地の賑わいを創出している新潟市と千葉県柏市の事例を紹介します。

新潟市:都市部を活性化する「にいがた2km」

 新潟市では20年より、JR新潟駅から中心市街地の万代地区、万代島地区、古町地区を結ぶ約2kmの大通りやその周辺を「にいがた2km」と名付け、経済・産業の発展をけん引する成長エンジンとしていく政策の一環として「ウォーカブルな都市空間」の創出に取り組んでいます。
 毎年春から秋の期間には、万代地区と古町地区の間に流れる信濃川の堤防を活用し、「ミズベリング信濃川やすらぎ堤」と題して、飲食ブースやキャンプ体験ができるアウトドアエリアの常設や、水辺でのカヌーやSUP(スタンドアップパドルボード)教室、野外音楽ライブの実施などで集客を図っています。23年は期間中に約3万3千人の利用者が訪れ、周辺地区への回遊につながりました。

千葉県柏市:道路を活用し世代間交流を促進

 柏市、柏商工会議所、市民、大学などの連携によって15年に設立された柏アーバンデザインセンター(UDC2)は、柏市中心市街地の課題解決やまちづくりを担うプラットフォーム・シンクタンクとして、JR柏駅周辺地域の活性化に取り組んでいます。
 UDC2は17年より年に4回ほど、子供が安全に遊び多世代交流ができる場として、車道を規制した柏駅前通りの路上に、コマ・ベーゴマ・けん玉などが遊べるエリア、楽器やダンスを体験できるエリア、科学実験ができるワークショップエリアなどを設ける「ストリートパーティー」を開催しています。毎回2~3千人の参加者が集まり、周辺の商業施設などとの回遊性が高まっています。


 

※ ウォーカブルに関する政策や県内外の動向については、経済月報2024年2月号掲載のトピックス「ウォーカブルなまちづくりを目指して」で詳しく紹介しています。ぜひ、ご覧ください。

 

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