県内企業のデジタル化動向について< 2024・1・23 >
「デジタル化が遅れている」という企業割合は約6割
新型コロナ禍で人の移動や事業活動が制限された一方で、企業では従業員との情報共有や取引先とのコミュニケーションを円滑に行うデジタル化の取り組みが進みました。こうしたコロナ後の県内企業のデジタル化への対応状況を探るため当研究所では昨年10月に県内3,000社に対してアンケート調査を実施し、約800社から回答がありました。全国同様のデジタル化の取り組みが確認できた一方で取り組みの遅れや課題も数多くみられました。
まず、企業のデジタル化の取り組み状況についてみると、取り組みが「進んでいる」という回答は3.0%、「やや進んでいる」が32.5%となり、両者を合わせると「進んでいる」とする回答は3割程度にとどまりました。一方、「やや遅れている」(42.9%)、「遅れている」(17.8%)を合わると約6割が「遅れている」という結果となっています。
経営層のリーダーシップが重要
取り組みが「進んでいる」企業にその理由をたずねると、「デジタル化の目的・目標が明確であった」、「経営層が陣頭指揮をとった」、「業務プロセスの見直しを合わせて行った」という回答が上位にあげられました。このほか「デジタル化を段階的に行った」、「業務プロセスの見直しを合わせて行った」、「専任部署、あるいは専任の担当者を設置した」なども取り組みが「遅れている」企業に比べ回答割合が多くなりました。
経営層のリーダーシップの下でビジョンや目標を明確にし、計画的にデジタル化を進めることが取り組みを始める上で重要と考えられます。
デジタル化はコストのほか人材確保・育成が課題
今後、デジタル化を進める上での課題では、「進んでいる」企業では、「コスト負担が大きい」が最も多く、次いで「従業員がデジタルツールなどを使いこなせない」となっています。一方「遅れている」企業では、上位2つの課題に加え、「旗振り役が務まる人材がいない」、「導入の効果が分からない、評価できない」が高い割合となっています。「遅れている」企業では、デジタル化を進めるための専任部署や担当者を置けず、導入効果や評価が十分にできていないことがうかがえます。
企業がデジタル化の取り組みをさらに進めるためには、課題に挙げられたコストの問題に加え、旗振り役や人材育成体制の構築など不安を1つ1つ解消していく必要があります。
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