価格転嫁と賃上げの継続に向けて< 2023・9・21 >

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最終更新日: 2023年9月21日

物価上昇に追い付かない賃上げ

   物価上昇の動きが続いています。総務省の全国消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)によれば、7月は3.9%と上昇傾向にあります。このような物価上昇の状況下において、販売価格への価格転嫁が徐々に進んでいるほか、人手不足も加わり、最近では賃上げの動きもみられるようになっています。
 しかしながら、物価の変動を取り除いた「実質」でみた個人消費の動きは冴えない状況です。7月の家計調査によると、実質消費支出が前年同月比5.0%減少と5カ月連続で前年を下回る状況です。背景には賃上げによる所得増加の動きはあっても、物価上昇を上回るほどの十分な所得の増加に至っておらず、消費者が節約志向を強めていることが考えられます。
 さらなる賃上げが継続され、個人消費の動きを喚起できるのか、今後の景気を占う上で重要なポイントになっています。 

二極化する価格転嫁の状況

 こうした消費の弱さを克服するには、先ずは企業が価格転嫁を進め、賃上げを継続し消費者の購買力を高めていくことが重要です。
 企業の価格転嫁の状況については、中小企業庁が2023年3月に実施した「価格交渉促進月間」に関するアンケート結果で、「価格交渉が進められた」という回答割合は全体の約63%となり、半年前の調査に比べ増加しました。一方で「価格交渉が全くできていない」という割合も全体の約16%と、半年前の調査から増加しており、二極化が進んでいる状況です。

価格交渉に併せ付加価値の向上を

 価格交渉が進まない企業が16%と増えている結果を踏まえ、中小企業庁では、中小企業が原材料費などの上昇分を発注側企業に適切に価格転嫁できるよう、全国の「よろず支援拠点」に「価格転嫁サポート窓口」を新設し支援体制を強化しています。
 このほか、取引先との共存共栄関係の構築を目指す「パートナーシップ構築宣言」を進めています。これは中小企業に関わる原材料費などの上昇分を取引価格に転嫁し、取引価格の適正化を図ろうとする取り組みです。2020年5月に公表されて以降、多くの企業が賛同し宣言を行っています。現在、全国では3万社余り、長野県でも540社が宣言をしています。
 こうした取り組みを通じて価格転嫁を進めていくことはもちろん、企業側も継続的な業務の見直し、効率化や省力化によるコスト削減、さらには自社の製商品・サービスの付加価値を高め、継続的な賃上げに繋げていくことが必要です。
  

(初出:2023年9月19日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

 

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