回復の途にあるスキー場利用動向<2023.5.22>

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最終更新日: 2023年5月22日

長野経済研究所によるスキー場利用動向調査

 長野経済研究所では毎年、長野県内の主要なスキー場23カ所にご協力いただき、利用者数などの動向を調査しています。現在県内には約80カ所のスキー場がありますが、当研究所が調査対象としている23カ所の利用者数の合計は、県内スキー場利用者数全体のおよそ7割に相当しています。調査対象の期間は、スキー場のオープンから3月末までとなっています。
 今回は2022年度シーズン、つまり昨年11月以降のオープンから今年3月末までの各スキー場の利用動向について調査結果がまとまりましたので、ご報告させていただきます。

これまでの利用者数の推移

 まず、これまでの利用者数の推移について簡単にご説明します。当研究所では1992年度からこの調査を開始しているのですが、その92年度の利用者数が1,448万人とピークでした。その後は年々利用者数が減少していき、2010年度に471万人と初めて500万人を割り込みました。ただ、その後は概ね下げ止まりがみられ、19年度まではほぼ500万人前後での推移が続きました。
 ところが20年度(20年-21年)はシーズンを通してコロナの影響が大きく及び、調査開始以降で最低の271万人となりました。翌21年度(21年-22年)は355万人と前年比で約3割増加するもコロナ前の水準には遠く及ばず、調査開始以降2番目に低い水準でした。

22年度は持ち直すもコロナ前の水準には届かず

 そして今回、22年度もコロナ前の水準には届かず過去3番目に低い水準だったのですが、それでも利用者数は前年度より約2割増加の435万人と、回復の途にある状況が伺えました。
 各スキー場の動向をみると、23カ所のスキー場のうち20カ所で利用者数が前年度を上回りました。中でも12月上旬から降雪に恵まれた大北・長野・北信地域など県北部のスキー場は早くから県内外からの利用が増加し、シーズンを通じて安定的に利用者を集めました。
 また多くのスキー場で、コロナ下ではキャンセルが相次いだ学校のスキー教室や修学旅行などの団体利用が戻ったことに加え家族連れなどの利用も多くなり、前年同月比で1月は3割増、2月は4割増と大きく増えました。
 県中部・南部のスキー場も大都市圏からのアクセスが良く利用者を集めましたが、期間の終盤に気温の上昇によって融雪が進んだことなどから3月は多くのスキー場で前年を下回りました。
 この他、利用者数が前年度を下回ったスキー場の中には、シーズン序盤に十分な積雪量を確保できず開業時期が遅れPR不足となったほか、人手不足により提供するサービスの範囲を絞り込んだ施設もみられました。さらに、今年度は燃料価格や電気料金、人件費等の上昇を受けてリフト券の金額を値上げするスキー場も散見され、利用者の伸び悩みにつながったとみられます。

海外利用者の動向と今後に向けた誘客策

 今年度は、海外からの入国規制が緩和されたことから各スキー場で前年度に比べて外国人利用者が大幅に増加しました。全体では台湾などアジア地域からの利用者が回復したほか、大北・北信地域を中心にオーストラリアや欧米地域からの利用者も増えました。
 こうした外国人利用者は、来シーズン以降も本格的な回復が見込まれます。誘客を強化するスキー場では海外向けの営業活動や情報発信のほか、海外からも事前にWEBを通じてリフト券の購入・決済が完了できるようシステムを整備するなどの対策を進めています。
 また、国内外のさらなる誘客を目指す取り組みとして、小さなお子さん向けの専用エリアを拡充したり、ノンスキーヤーや初心者を取り込むためにスキー・スノーボード以外のアクティビティの充実を図るスキー場も多くみられます。こうした取り組みが新たな客層を掘り起こし、今後の利用増加につながるかがポイントです。
 今回の調査結果の詳細は当研究所ホームページ「2022年度県内主要スキー場利用動向調査(速報)」に掲載していますので、ぜひご参照ください。

 

2023年5月22日放送 SBCラジオ「Jのコラム」より

 

 

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