産業界の「つくる」を支える空気圧機器のパイオニア~日本ピスコ<2023・01・16>
地域を牽引するものづくり企業
(株)日本ピスコ(本社:岡谷市)は、産業機械を中心に、食品、紡績、医療、半導体、自動車など多くの分野で使用されている空気圧機器の開発、製造、販売を手掛ける企業だ。
同社は、諏訪地域を中心に数百社の外注先を持ち、それら取引先とともに技術を磨き上げ成長を遂げてきた。このように地域を牽引する中核企業であることから、経済産業省より地域未来牽引企業としても認定されている。
国内2位のシェアを誇るワンタッチ接手
同社が製造する空気圧機器は、人手不足を補う産業用ロボットや生産ラインに欠かす事のできない存在である。
同社が独自に開発し特許技術を盛り込んだ「ワンタッチ接手」は、商品名通りワンタッチで簡単に接手とチューブの付け外しができる。この機構は45年前に同社が業界初として開発したもので、現在、多くの企業が本機構を採用している。
同分野のパイオニアとして顧客ニーズに応じカスタムメイドで製品開発を行ってきたことから、およそ2万種類のバリエーションを持ち、国内2位のシェアを誇る。
固定圧レギュレータが「NAGANOものづくりエクセレンス」に認定
産業用ロボットを空気圧で動かすには、コンプレッサーから排出された圧縮空気を、各動力部分が必要とする空気圧にまで減圧する必要がある。この減圧に必要なパーツがレギュレータだ。
従来のレギュレータは、使用環境に合った圧力にするため煩雑な調整を行っていた。これに対し同社が開発した「固定圧レギュレータ」は、あらかじめ設定した空気圧で作動するため、煩雑な調整作業が不要となった。
同製品はさまざまな使用環境を想定し、72種を開発、製造、販売している。
「NAGANOものづくりエクセレンス」では、初期使用時の圧力調整の手間が省け、意図しない誤操作の防止にも活用できる点などが評価された。
得意とする真空技術でモノを運ぶ
ロボットハンドに装着して使われる真空発生器と吸着パッドも、同社が得意とするモジュール製品だ。
パウチに入った食品などは形が変形するため、つかむことが難しい。それらに対しては、圧縮空気を真空に変換し、その先端に対象製品に応じた吸着パッドを装着することで、パウチを上手に吸い上げ、移動することができる。
さらに、この真空を発生させる「ロータリ真空ポンプ」も同社で開発しており、業界トップレベルの高効率を誇っている。ロータリとシリンダー、モータとポンプ室、それぞれが非接触な構造となっており、高効率、低発熱、低騒音を実現している。
この吸着して運ぶというシステムは、急速に自動化を進めている食品や物流分野での活用拡大が見込まれている。
環境配慮の新社屋が2024年に完成予定
同社では業績の拡大に伴い、2024年完成予定の新社屋の建設を進めている。
延べ床面積1万2,700㎡、3階建ての構造で、地中熱空調、太陽熱発電、雨水再利用など環境に配慮したエコファクトリーを目指す。
SDGsへの取り組みが急がれる中、諏訪地域のSDGs拠点としても地域をリードすることが期待される。
(資料)SBC信越放送「明日を造れ!ものづくりナガノ」(2023.01.15)
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