「全国旅行支援」の長野県内への効果や利用の留意点について<2022.10.25>

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最終更新日: 2022年10月25日

「全国旅行支援」の開始

 10月11日に政府の観光促進事業である「全国旅行支援」が始まりました。都道府県で唯一実施が遅れていた東京都でも同月20日から始まり、これで12月下旬頃まで全国どこでも宿泊代金等の40%を割り引いて旅行ができることになりました。
 今回はこの「全国旅行支援」について、長野県内観光への効果や利用者の留意点などをご紹介します。

長野県内観光産業への効果について

 まず、今回の全国旅行支援を2年前の「Go To トラベル」が実施された時の状況と比較してみると、当時はまだ県外旅行に抵抗を感じる方も多く、宿泊先も県内など近場が多かったと思います。今回もまだコロナの収束には至っていませんが、それでも感染対策を講じた上で県をまたぐ移動機会も増えてきました。長野県内にも既に首都圏など県外から多くの観光客が訪れており、お土産や飲食などを含む観光消費額の増加につながると考えられます。
 また、2年前との制度上の大きな違いの1つが割引の上限額です。今回の旅行支援は、宿泊のみの場合は1泊5千円が上限ですが、GoToは宿泊代金の2分の1以内で2万円が上限でした。こうして比べると、今回の旅行支援は見劣りしてしまいますが、前回のGoToでは実施後にどんな現象が起きたかというと、料金が高額な宿泊施設に利用が集中し、リーズナブルな施設はあまり恩恵が無かったという声も聞かれました。従って今回の旅行支援では、上限額を抑えたことによって、県内に多いペンションや民宿のような比較的リーズナブルな価格帯の宿泊施設にも効果が広がることが期待されます。

利用上の主な留意点

 一方、今回の旅行支援は開始と同時にさまざまな問題点も指摘されています。その最たるものが、従来のGoToは国が主体となり全国一律の実施体制だったのに対し、旅行支援は各都道府県が主体なって運用方法等を決定するため、制度の細かい内容などが都道府県によって異なるということです。そのため、利用者は旅行をする都道府県ごとに実施状況や制度の詳細をよく確認しておく必要があります。
 また、全国を対象とする大手の旅行サイトなども都道府県単位で予算を分配されているため、予算の上限に達した県から旅行支援の取り扱いが停止されています。実際に私が普段から利用しているある旅行サイトでも、旅行支援開始から約1週間で16の府県が取り扱い停止になっていました。ただ、それはあくまで旅行サイトへの割り当て分が終了したということで、旅行サイトを通じて申し込みができなくても、宿泊施設の公式ホームページなどから直接予約することは可能、という場合もあります。こうした点を踏まえ、旅行支援の利用を検討されている皆さんは、刻一刻と変化するそれぞれの予約ルートにおける実施状況も事前に把握しておくことが大切です。

今後に向けて

 長野県内の旅行支援の実施期間は、12月20日宿泊分までとなっています。従って、県内が本格的なスキーシーズンに入る前に支援が終了してしまうことになり、その点は非常に残念です。長野県の重要な観光産業であるスキー場は、過去2年、コロナの影響で利用者が大きく落ち込みました。報道では、政府は来年も旅行支援を継続する方向で検討しているとのことですが、旅行支援終了後の反動減を回避するためにも、可能な範囲で息の長い支援が継続され、冬シーズンにおけるスキー利用の促進にもつながることを期待したいと思います。
 他方、宿泊や観光事業者にとっては、今回の旅行支援の内容を正確に理解していただき、不慣れな利用者の方々からの問い合わせ等に対して可能な限り分かりやすく丁寧に対応することで、利用者から信頼され、今後も引き続きファンになってもらえるよう取り組んでいただきたいと願います。

2022年10月24日放送 SBCラジオ「Jのコラム」より

 

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