半導体不足が及ぼす自動車関連業種への影響<2022.8.12>

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最終更新日: 2022年8月12日

納車遅れの最大の要因は半導体不足

 冒頭から私事で恐縮なのですが、先日新車を購入しました。国内メーカーのSUV(スポーツ用多目的車)を購入したのですが、2021年の11月に契約をし、その時点での納車予定は22年の4月下旬とのことでした。しかしながら、4月になっても生産の目処が立たず、5月、6月も過ぎ、ようやく7月に入って生産が始まりました。そして、7月末に無事納車となりました。
 私の例では、そもそも人気の車種だったこともあり契約の時点で納車まで5カ月待ちだった訳ですが、さらに3カ月遅れ、結局、納車期間は8カ月という事になりました。

 現在、こうした自動車の納車期間の長期化が大きな問題となっています。新車の納車期間は、従来は数週間から1~2カ月程度でしたが、最近は数カ月から車種によっては1年を超えています。
 この納車遅れにはさまざまな要因があると考えられますが、その最たる要因は半導体不足です。自動車の電子制御化が進み半導体の搭載量が増加する中、新型コロナの世界的な感染拡大により「巣ごもり需要」が発生し、家電製品やゲーム機などの生産が増加して半導体需要が急増しました。さらに、2020~21年にかけては国内半導体工場の火災や北米の大規模な寒波による工場停止等の影響もあり、半導体の供給量が大きく減少しました。
 また、21年から今年にかけても新型コロナの影響で東南アジアの工場の稼働停止や中国・上海のロックダウン(都市封鎖)などが相次ぎ、半導体だけでなく、自動車製造に不可欠なさまざまな部品も不足しました。最近では、ウクライナにある主要な電子部品関連の工場がロシアの軍事侵攻を受けて稼働停止や閉鎖に陥っていることも、部品不足に拍車をかけています。

半導体不足の影響を受ける自動車関連業種

 当研究所が7月に公表した、長野県内の「産業別四半期見通し調査結果」によると、半導体や部品不足が大きく影響している業種がみられます。最も影響が大きい自動車販売の今年4~6月の現況は、5段階で下から2番目の「小雨」(低調)となりました。7~9月の見通しも方向感は横ばいで同じく「小雨」(低調)の予想です。自動車そのものに対する需要は堅調なものの、半導体や部品不足に伴う納車遅れの影響で各販売会社では受注を一時的に停止している車種もあり、販売台数は前年同期を下回っています。今後も状況がすぐに改善しないことから、国産車・輸入車ともに販売は低調となる見込みです。
 このほか自動車部品製造も同様に、4~6月期、7~9月期ともに「小雨」(低調)と、厳しい状況です。自動車部品は国内向け及び海外向けともに半導体不足等による完成車メーカーの生産滞りの影響が当面続くとみられ、受注量は低い水準で推移する見込みです。
 自動車関連業種は裾野が広く、県内産業に与える影響も大きくなるとみられ、引き続き状況を注視していく必要があります。

2022年8月12日放送 SBCラジオ「Jのコラム」より

 

 

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