外国人観光客の受け入れ再開<2022.6.27>
大型イベントを経て、県内観光客回復に期待
善光寺(長野市)の御開帳など、今年は春から長野県内各地で大型イベントが続き、新型コロナの感染防止に配慮しつつも、県内を訪れる観光客が回復に向かうことが期待されています。そして、6月からはついに国による外国人観光客の受け入れも再開されました。この動きに期待を寄せる観光関係者の方も多いと思います。
そこで今回は、外国人観光客(インバウンド)の受け入れ再開について取り上げます。
新型コロナの県内観光への影響
本題に入る前に、まずは新型コロナによって県内の観光がどれほどの影響を受けたのか確認したいと思います。観光庁の「宿泊旅行統計調査」によると、コロナ前2019年度の長野県内全体の延べ宿泊者数は約1,774万人でした。それが、20年度は約934万人と19年度の53%の水準に落ち込みました。21年度は少し増加して約1,120万人、19年度の63%の水準となっています。
ところが、このうち外国人の県内延べ宿泊者数をみると、19年度は約149万人でしたが、20年度は約6万人、21年度は約5万人とコロナ前の数%の水準です。コロナ以降、外国人の観光目的での入国が制限されていたため、外国人宿泊者の多くは国内在住の外国人かビジネス目的等で入国した方々だと思われますが、それにしても、インバウンドの抜けた穴は大きいと改めて感じます。
外国人観光客受け入れガイドラインについて
6月10日から、「添乗員付きパッケージツアー」に限り、外国人観光客の受け入れが再開されました。これは、旅行中に感染防止策や緊急時対応を担う添乗員が付き、全体の行程管理が可能なパッケージツアーです。そして、これに伴い観光庁は「外国人観光客の受入れ対応に関するガイドラン」を公表しました。
このガイドラインでは、旅行業者、旅行サービス手配業者、添乗員、宿泊事業者等の各観光関係者が留意すべき事項をまとめています。基本的にはツアーを主催する旅行業者や現場を管理する添乗員などに、「マスク着用、手指消毒、3密の回避」といった基本的な感染防止対策の徹底やツアー参加者への注意喚起を求める内容が多くなっています。
実際に旅行者を受け入れる宿泊事業者等に求められる対応では、ツアー実施前に、ロビーや食堂等の目立つ場所のほか、更衣室や浴場等の添乗員による確認が困難な場所においても、感染防止策が適切に実施されるよう、外国語のリーフレット掲示等を行うこと、などとあります。
この他、特に関係者の迅速な連携や協力が求められる場面が、ツアー実施中に陽性者が発生した場合などの緊急時だと考えられます。旅行業者や添乗員に対しては、ツアー実施前に、多言語対応可能な医療機関や専門的な医療通訳等に関する情報などを確認・共有するよう求められていますが、状況や時間帯によっては宿泊先で臨機応変な対応が必要となる場合もあり得ます。
そこで、例えば宿泊事業者の方々も、地域で外国人の受け入れが可能な医療機関について改めて確認をしておくことが大切だと思います。厚生労働省のウェブサイトには、各都道府県の外国人患者を受け入れる医療機関のリストが公開されています。これによると、県内は23の医療機関が掲載され、英語・中国語など対応可能な言語や、利用可能なクレジットカードやキャッシュレスサービスの情報も載っています。また、日本政府観光局(JNTO)のウェブサイトにも関連情報が公開されています。ぜひ今一度、確認していただければと思います。
今後の受け入れ拡大に向けて
今回のインバウンドの受け入れ再開は「添乗員付きパッケージツアー」の利用者に限定されていますが、今後、ツアー内容の検証や感染症の状況などを踏まえた上で、個人旅行者などの受け入れなど、制度の緩和や拡大が見込まれます。そうした中で、観光関連事業者の方々はもちろん、私たち県民皆がコロナ前にも増して海外からの多様な旅行者を気持ちよく受け入れることで、信州ファンが1人でも多く世界に増えると良いですね。
2022年6月27日放送 SBCラジオ「Jのコラム」より
関連リンク
産業調査
電話番号:026-224-0501
FAX番号:026-224-6233