非製造分野におけるIT活用<2022.2.15>

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最終更新日: 2022年2月15日

 

非製造分野でも進むITビジネス創出の動き

 現在、長野県内では信州ITバレー構想の下で、ITを活用したビジネス創出や、新たな製商品・サービス開発等に向けた取り組みが増加しています。
 同構想の推進機関の1つである一般社団法人長野ITコラボレーションプラットフォーム(NICOLLAP)は、企業連携により、ITを活用した新規事業にチャレンジする事業者とその支援者が集まる魅力ある地域づくりや、新産業の創造を目指しています。新規事業推進の主体となる会員事業者とIT会員事業者で構成され、2021年12月時点で会員企業は40社を超えています。
 また、長野県は21年度、県内企業のITビジネス創出を促すため、「コンソーシアム活用型ITビジネス創出支援事業」を展開しています。この事業は、県内企業が産学官連携による共創の場(コンソーシアム)を形成し、そのコンソーシアムが取り組む新たなITシステムの開発を支援するもので、長野県テクノ財団・信州ITバレー推進室が事務局を担い、県内の11社が採択を受けています。
 こうした、NICOLLAPの活動や県のITビジネス創出支援事業の中からさまざまな取り組みが動き出していますが、中でもこれまでITの実装が遅れていた観光や農業など非製造の分野でITを導入・活用し、新たなビジネスの立ち上げや、生産性向上を目指す動きがみられ始めています。

IT×防災、IT×観光〔株式会社AB.do(長野市)〕

  測量調査などを手掛ける(株)AB.do(エイビードゥ)は、強みである地理情報の処理技術を活用し、防災分野として、自社の「タイル画像システム」を応用した新たなWEB用のハザードマップを開発しました。
 また、観光分野では、主要な観光情報や建造物などを見やすく強調(デフォルメ)した観光マップと衛星データを基に描かれた正確な地図を、独自に開発したAIによって融合させ、正確な位置情報の表示が可能なWEB用の観光マップを開発しました。

IT×農業、IT×モビリティ〔株式会社イーエムアイ・ラボ(諏訪郡富士見町)〕

 測量や環境アセスメントなどを行う(株)ラポーザ(長野市)のものづくりベンチャーとして設立された(株)イーエムアイ・ラボは、農業の生産性向上実現に向けて農薬散布ロボットを開発しています。
 幅や長さが約1mと軽トラックにも乗るコンパクトな形状で、農薬入りのタンクを積んだ4輪車型で傾斜地でも走行でき、果樹の根元まで近づいてノズルから散布します。自動走行や遠隔操作が可能なため、作業者自身が散布した農薬を浴びる心配もありません。その他、長野市内にある自社の実験農園にて、スマート農業やモビリティ分野の開発に取り組んでいます。

本業の強みを活用して新たなITビジネスを育成する

 2社のIT活用事例に共通する事業のポイントの1つに、本業の強みを活用している点が挙げられます。(株)AB.doは本業で培った地理情報の処理技術を応用し、新たな防災・観光マップの開発につなげています。(株)イーエムアイ・ラボはドローンやレーザーなど測量機器の知見を生かし、農業分野における生産性向上に向けた取り組みを、自社の新たなビジネスの柱として育成しています。

 

※事例として紹介した2社の取り組みは、経済月報2022年2月号掲載のトピックス「ITを活用した非製造分野の新たな取り組み」で詳しくレポートしています。ぜひ、ご覧ください。

(2022.2.15)

 

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