北京五輪メダルの影の凡事<2022・02・14> 

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最終更新日: 2022年2月14日

凡事徹底こそのメダル獲得か

  2月2日に北京冬季五輪が開幕した。

  2月12日には、小林陵侑選手がノルディックスキー・ジャンプ男子個人ラージヒルで、ノーマルヒルでの金メダルに続き銀メダルを獲得した。

  日本勢として個人種目で2個のメダルを獲得するのは、1998年長野冬季五輪での船木和喜選手以来の快挙である。テレビで観戦をしていると、五輪という大舞台に全く動じない様は王者の風格を感じるものだった。

  しかし、そんな王者も、当初からそのようではなかったようだ。

  小林選手は葛西紀明選手にその才能を見込まれ、盛岡中央高校を卒業した2015年に葛西選手が監督を務める土屋ホーム(スキー部)に入社した。入社直後こそワールドカップで7位の入賞を果たすなど期待に応える活躍を見せたが、その後数年は良い成績を残せないでいた。

  当時の小林選手の様子について、土屋ホーム山本謙名誉総監督のコメントを日本経済新聞(2月13日朝刊)が紹介している。「(当時の小林選手は)話しかけても返事が遅かったり、取材時の対応がぶっきらぼうだったりと、精神的に幼いところがあった」。

  小林選手の名前が再び聞かれるようになったのは2018~19年のシーズンで、ワールドカップで日本人初の総合優勝を果たした。

  そこに至る数年間の小林選手の努力は知る由もないが、彼の変化についての山本名誉総監督の言葉は以下の様なものだ。「インタビューで周囲への感謝を述べるようになった」(日経新聞、同日)。

  山本名誉総監督は、成長のためには「気持ちのいい返事や挨拶、周囲への感謝の言葉」など凡事がいかに大切なのかを説いているのだろう。

  それができてこそのメダル獲得のように思う。

極めつけの凡事は挨拶

  物事には共通の真理のようなものがあるようだ。

  小林選手の報道記事を読んでそのような事を強く感じた。

  弊所「経済月報」で現在連載をしている児島保彦先生の「当たり前の経営」では、極めつけの凡事は「挨拶」であることを説明されている。

  「経済月報」2022年2月号の該当箇所を紹介しよう。

  「全ては挨拶に始まり挨拶に終わる。挨拶もできない会社が難しい戦略を考えても無駄である。しかし、凡事の中の凡事なので挨拶を定着させることは最も難しい。まず挨拶の語源を知らない人が多いが、もともとは禅宗の悟りの度合いを推し量った真剣勝負の言葉だという。挨拶の「挨」は、押す、打つ、接近する、開くなどの意があり、「拶」には、迫る、ぴったりくっつくなどの意がある。つまり、挨拶は、自分の心を開き、相手に接近すると解釈できる」

  これをスポーツに例えるなら、「挨拶もできない選手が難しい記録に臨んでも無駄である」とでもなろうか。

  「自分の心を開き」、師である「相手」に接近することなくして、自分を超え、記録を伸ばしていくことは不可能だろう。ビジネスマンとて全く同じだ。

  北京冬季五輪は2月20日まで激戦が続く。

  選手たちの礼節からも学んでみたい。

 

 

 

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