今年の経済の振り返りと新年の展望~2022年は、緩やかに持ち直す見通し~< 2021・12・28 >
2022年の日本経済は、コロナ収束とリベンジ消費の動向が鍵
2021年の日本経済を振り返ると、新型コロナウイルス(以下、新型コロナという)の影響による相次ぐ緊急事態宣言の発令で個人消費は弱い動きが続きましたが、製造業を中心に改善しました。
2022年の日本経済を展望すると、政府の経済対策やこれまで抑制されていた消費が反動的に増えるリベンジ消費により緩やかに回復していくとみられます。主な民間調査機関が21年12月に公表した経済見通し(平均)によると、日本経済の実質経済成長率は21年度が前年比+2.7%であるのに対し、22年度は同+3.1%の見通しです。生産は、海外でのコロナ感染拡大のリスクは残るものの、5G(第5世代移動通信システム)や自動車関連などの投資需要の増加が予想され、電子部品を中心に増加基調が見込まれます。個人消費は、Go To キャンペーンが再開される見込みであり、旅行などサービス消費が増加するほか、自動車生産の遅れに伴い販売が繰越されていた分の需要の発生により消費を押し上げる見通しです。また、海外での感染拡大が弱まり、経済活動の正常化が進むことで輸出や設備投資も更に増加していくことが予想されます。
2022年の長野県の景気は、緩やかに持ち直す見通し
2021年の県内を振り返ると、新型コロナの影響が各産業に及び、全国同様に厳しい経済状況となりましたが、製造業では、国内外でのIT関連投資や自動車の需要増加から産業用機械や電子部品を中心に生産が増加しました。非製造業では、内食需要の増加によりスーパーの売り上げが底堅く推移しましたが、百貨店は消費者の行動抑制もあり客数の増加につながらず、衣料品の低迷が続きました。民間工事は製造業で設備投資の増加がみられたほか、住宅投資は新型コロナの影響で落ち込んだ反動もあり、持家を中心増加しました。また、公共工事は台風19号災害に伴う復旧工事の発注が一巡したものの、リニア中央新幹線や三遠南信道路関連工事などが下支えし工事量は高水準を維持しました。一方、観光関連産業は、宿泊や旅客などを中心に業況は引き続き厳しい状況が続きました。
2022年の長野県経済を展望すると、景気は緩やかに持ち直す見通しです。当研究所が調査した22年の県内主要12業種の展望では、9業種が改善を見込んでいます。国内外向け共に生産の改善を見込む産業用機械や電子部品のほか、半導体不足などの供給制約が緩和に向かう自動車部品などは業況が上向きます。また、食料品を中心とした内食需要が底堅く推移するためスーパーなどで堅調な見通しです。さらにリベンジ消費が動き出し、レジャーなどを含む消費活動全体は上向くとみられます。公共工事はリニア関連など引き続き安定した工事量が見込まれます。民間工事では、住宅投資が底堅く推移するほか、企業の設備投資は製造業に加え、これまで抑制されていた非製造業への波及が期待されます。
アフターコロナを見据え新たな観光地づくりを
2022年は、新たな変異株の影響が懸念されますが、今後も新型コロナ対策を維持していくことで感染者数や医療逼迫の状況は回避され、緩やかに持ち直していくことが予想されます。観光面も年内中は、外国人観光客の増加は見込めない状況ですが、地方への周遊観光も徐々に改善していくとみられます。
こうした中で期待されるのが県内各地の観光イベントです。飯田市では3月にお練り祭りが、4月から6月には善光寺御開帳や諏訪大社御柱祭が開催されます。大規模なイベントが続くため、観光客の県内の周遊を通じてこれまで落ち込んでいた観光関連業にとって回復の足掛かりになることが期待されます。
アフターコロナを見据え、改めて地域の観光資源を見つめ直し、観光の周遊ルートの検討をし、リニア開業に向けた土台を強化していく年になることを祈念します。
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