ゼロカーボン実現に向けた再生可能エネルギー拡大の動き<2021.8.10>

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最終更新日: 2021年8月10日

 国が目指す「2050年カーボンニュートラル」

 化石燃料の使用を削減し、永続的に利用可能な太陽光や水力など自然由来のエネルギー源である再生可能エネルギー(以下、再エネという)へのシフトを進め、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル(ゼロカーボン)を目指す動きが鮮明になってきました。
2020年10月に菅首相は、50年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにし、脱炭素社会の実現を目指す「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。この中で、省エネの徹底や安全最優先での原子力政策の推進とともに、再エネを最大限導入するとしました。
同年12月、政府は、同宣言を実現するための実行計画(工程表)として、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、19年時点で18%にとどまっている全発電量に占める再エネの比率を、50年には50~60%と現在の約3倍に引き上げる方針を示しています。

県も再エネ生産量を3倍以上に

 長野県は、19年10月の台風災害等を経て、同年12月、「気候非常事態宣言」を都道府県で初めて公表しました。同宣言で、省エネ・再エネの推進とエネルギー自立分散型で災害に強い地域づくりを進め、50年には二酸化炭素排出量を実質ゼロ(ゼロカーボン)にする決意を示しています。
20年4月には「長野県気候危機突破方針」を取りまとめ、50年度までに最終エネルギー消費量を16年度比で7割削減するとともに、再エネ生産量を同3倍以上に拡大する方針を示しました。
そして、21年6月、県は今後の新たな環境エネルギー戦略となる「長野県ゼロカーボン戦略」を策定し、50年度に向けた再エネ生産量の増加目標を図表のように定めています。

再エネ普及に向けて、地域が主体となって取り組むことが大切

 長野県内では、主に太陽光や小水力などの再エネを活用した発電事業の拡大が期待されていますが、それらの現場では、さまざまな課題に加え、県外事業者との競合なども生じています。
県内における再エネ普及には県外事業者との連携やノウハウの共有も欠かせませんが、持続可能な再エネ利用に向けて大切なのは地域が主体となることで、自然環境や資源を守り、新たな事業や雇用の創出につなげ、事業収益を県外へ流出させることなく地域経済の中で循環させることです。
50年度に再エネ生産量を3倍以上に拡大する方針は、相当に高い目標で達成は容易ではないと考えられます。目標の実現に向けて、県や市町村がリーダーシップを取りながら住民や事業者が積極的に参加し、各主体が知恵を出し合い、これまで以上に取り組みを加速させていく必要があります。

 

※県内の再エネ事業に関する動向や今後の拡大に向けたポイントは、経済月報2021年8月号掲載の調査レポート「県の2050年度ゼロカーボン実現に向けた再生可能エネルギー事業拡大のポイント」で詳しくレポートしています。ぜひ、ご覧ください。

(2021.8.10)

 

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