2020年の振り返りと新年に向けて~コロナで迎える千載一遇のチャンス~<2020・12・29>

印刷

最終更新日: 2020年12月29日

未知のウイルスに経済はあまりに弱かった

  2020年は新型コロナウイルス一色だった。

  史上初の緊急事態宣言による経済活動の停止に始まり、学校の一斉休校、東京五輪や善光寺御開帳の延期、春夏の甲子園大会、各地の夏祭りや花火大会の中止など多くの人が集まるイベントがコロナに振り回された。中止・延期とされたイベントは枚挙にいとまがない。

  コロナの恐怖は人々の財布の紐も固くした。イベントなどの集まりがないため、アルコール類の売り上げは急減した。外出が少なくなったことから、外出着や化粧品も売れない。不要不急の自動車の買い替えも激減し、4月には国内の自動車メーカーの工場を停止するにまで至った。

  これらの結果、当然のことながら経済活動は停滞し、経済成長率を大きく押し下げた。緊急事態宣言があった4-6月のGDP成長率は前期比7.8%減、年率換算では27.8%減とリーマンショック時を凌ぐ落ち込みを記録した。

  そして、もう一つが財政赤字の悪化である。コロナ対策もあり国が発行する普通国債残高は84兆円程度増え、21年度末には990兆円となる。その結果、名目実質国内総生産(GDP)に対する比率は177%と先進国最悪を更新する。

  未知のウイルスに対して経済は極めて弱かった。

行き過ぎた経済の停滞

  それにしてもここまで経済が停滞する必要があったのか、というのが素直な感想だ。何事にもよらず、物事は縦横に比較しないとその多寡は見えてこない。

  コロナで経済が停滞し、感染者や死者が急増したといってもそれは他国に比べどうなのか。また、コロナによる犠牲者は他の疾病と比較してどうなのか。このコラムでも、何度か書いてきたが、年の瀬に直近の数値で確認しておきたい。

  12月25日更新の数値で、米国の感染者は19,262,131人と日本(223,776人)の86倍だ。死亡者では、日本の3,325人に対し米国では334,618人と100倍。人口100万人あたりに直すと38倍となっている。
  他の疾病との比較では2019年の数値を見ると、最も多い死因は新生物(腫瘍)いわゆる癌であり389,867人、次いで循環器系の疾病が350,505人。肺炎で95,518人、交通事故で4,279人、コロナと同じウイルスが原因のインフルエンザでは3,575人だ。現時点より多少は増えるとしても、コロナによる死者3,325人は多くの疾病に比較して決して多くはない。

  一方、国際通貨基金(IMF)が予測する2020年度の経済予測では、日本経済の落込みは大きい。米国のマイナスの4.3%に対し日本はマイナス5.2%と、感染者数や死者数からすると経済の停滞はやはり行き過ぎている。

コロナで変わってしまった世の中だが、新年は千載一遇のチャンスだ

  新年は新型コロナウイルスによって痛めつけられた経済や生活を、いかにして立て直すのかが最も重要な課題だ。

  そこで2つの提案をしたい。

  1つは、行き過ぎた不安の解消である。景気の気は気持ちの気と言われるように、不安が蔓延している中では景気は決して回復してこない。上記の事実をしっかりと国民、県民に知らしめ、認知してもらい、いたずらに怯え、委縮してしまうことから人々を解消することだ。

  そしてもう1つが、ウイズコロナを前提とした「新しい生活様式」で求められる製品・サービスの開発と提供である。

  生活様式が変わる時は、産業界にとっては千載一遇のチャンスだ。かつて、三種の神器と言われた電化製品が飛ぶように売れたのは、米国的な生活様式への変容がきっかけであった。

  コロナウイルスという不確かなモノを相手にした厳しい闘いだが、変化への対応を怠れないことだけは確かだ。

  変化を読み対応すれば着実に事業を拡大するチャンスは広がっている。

  大いに飛躍する新年となることを期待したい。


 

 

 

 

関連リンク

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

このページに関するお問い合わせ

産業調査

電話番号:026-224-0501

FAX番号:026-224-6233