コロナ禍でのプレミアム商品券の効果を考える<2020・12・16>
消費悪化で大変なことになっている地域経済
今街を歩くと廃業してしまった店も時々目にする。地域経済は大変なことになっている。
理由は言うまでもない新型コロナウイルスだ。
分析してみよう。
コロナへの感染警戒で人々の外出が減っている。
外出が減れば当然に買物の機会も減る。
また、コロナへの不安感が増せばお金を使おうとする気持ちより、万が一のために貯めておこうとする気持ちが強くなり、財布の紐が固くなる。
さらに、コロナで勤め先の業績が悪くなり冬のボーナスも減っている企業も多く、個人の財布の中身も減っている。
このように、外出しない、不安で財布の紐が固くなる、財布の中身も減っていることなどから、地域の店や飲食店でお金を使うことがめっきりと減ってしまっている。それが店の経営を行き詰まらせ、長野県の景気を悪化させる大きな要因になっている。
経済対策、生活支援としてのプレミアム商品券
こうした状況を受け、県内の市町村では、ご存じ「プレミアム付の商品券」を発行している。
これは、1万円を払えば1万2千円分とか1万円以上の買物ができるお得感がある商品券だ。お得感を持たせる事で多くの人に使ってもらえるようになっている。
また、使用期限も設けてあり、それによりコロナで急激に落ちてしまった店の売り上げを早めに回復させるのが狙いだ。
また、もう一つ所得が減ってしまった個人の生活支援・所得補填の目的がある。
プレミアム分の所得が補填されることで、消費が戻ることを狙ってもいる。
プレミアム商品券の経済波及効果
さて、プレミアム商品券は発行することで経済波及効果というものも期待できる。
経済波及効果というのは、プレミアム商品券のプレミアム分以上の効果があるため冷え込んだ経済の対策になる。
つまり、各自治体がプレミアム商品券を発行することで、日常の消費以上に商品券がきっかけとなったプラスの消費や、商品券に上乗せして支払った消費が生まれる。
具体的に説明すれば、プレミアム商品券はお得だから、せっかくだから予定になかった買い物をしたとか、プレミアム分が貰えた訳だからより高い値段の買い物をしたなどだ。
また、最近大きく伸びているネットで買っていたものを地元で買うことで、この分も地元の小売店や飲食店を通じて地域経済にお金が落ちることになる。
ただ、本来購入すべきものを商品券で買っただけという「需要の先食い」や、プレミアムで浮いた分を「貯金に回す」という事も必ず生ずる。その分は効果から外して考えなくてはならないが、全てがこうした部分に消えてしまう訳ではない。
このような実情であるため、経済波及効果は実際に利用した人にアンケート調査などしてみないと分からないところだ。
平成27年に長野市が行った調査「ながのプレミアム商品券の経済波及効果について」では、長野市がプレミアムで付けた額の2.2倍が使われたという消費喚起の効果が分かっている。
人々の消費行動は数年では大きく変化しないため、今回も同程度の効果は見込めると考えられる。
そして何よりも、プレミアム商品券の効果を最大化するためには、今回の商品券をきっかけにそれぞれの店の魅力を来店したお客さんに伝え、継続的な消費増加につながることだ。
コロナの収束には多少時間がかかるものと思うが、このプレミアム商品券のように皆でチエを絞り出し、「コロナに負けてたまるか」と闘っていくことが必要な時期のように思う。
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