コロナ禍に負けてたまるか!~頑張る観光業者の事例~<2020・08・24>

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最終更新日: 2020年8月24日

 

新型コロナウイルス対策としての人の移動制限

   今年のゴールデンウィークは、コロナ感染対策のための国の「緊急事態宣言」や県の「信州の観光はお休み」キャンペーンにより、県内の主な観光地の延利用者数は大幅に減少した。

   県が発表した「令和2年度ゴールデンウィークにおける主な観光地の利用状況」によると、この期間に県内主要観光地(51 か所)を訪れた観光客は7 万 4 千人で、前年に比べ 362 万 3 千人(98.0%)減少した。

   このように、人の動きを徹底的に抑えたことにより、長野県では、いままでの感染者が150人程度に抑えられ、死者に至ってはゼロと成功を収めていると言える。 

人の移動により成り立つ観光業への大きな影響

 しかし、これを観光事業の側からみると、従来370万人ほどのお客さまが98%減少してしまったという未曽有の事態に陥っていることになる。国や県などから、売り上げ減少を補填するための給付金等が支払われたが、減少した売り上げを埋め合わせるには到底足りる額ではない。

  そして、お盆も過ぎた現在、県内の観光事業者からはなかなかお客さんが増えてこないとの声が多く聞かれる。

  国のGOTOキャンペーンが期待されたが、東京抜きの施策となってしまったという影響も大きい。さらに感染者増加の報道が毎日行われていることが、旅行しようという気持ちを萎えさせている。長野県の観光産業は大ピンチにある。 

志賀高原「満天ビューテラス」に来て欲しい  

    そんな折、「観光業は大変だけど、コロナに負けずに社員が一丸となって頑張っているから見に来て欲しい」という連絡をもらった。

   相手は銀行時代の同僚で、1年前から山ノ内町の(株)S&T観光開発という企業に出向している。連絡をもらって、早速、志賀高原まで行ってみると、色白だった彼が真っ黒に日焼けをしていた。どうしたと聞くと、炎天下の駐車場で営業をしているのだという。

   この企業は山ノ内町で幾つかのホテルや旅館、横手山渋峠スキー場を経営している。彼の職場はこの横手山渋峠スキー場にある「満天ビューテラス」だ。ここは、リフトで上ることができる日本で一番高い場所で2,307mの高さがある。頂上では富士山から、浅間山、木曽駒、北アルプスの乗鞍岳、穂高岳、日本海まで一望できる大パノラマだ。

 コロナで空いた時間に営業を 

  この素晴らしい大パノラマに必ずお客さんは来てくれる筈だと、コロナでお客が減ってしまい空いた時間を社員全員で営業をした。

   どうやったのか。志賀高原は隣が草津温泉であり、かねてからつながりはある。ここに社員全員で泊まりに出かけ、全てのホテルに営業をした。そして、各ホテルに「満天ビューテラス」のチラシを置いてもらった。

   成果はほどなく出始め、群馬県からの観光客も徐々に増えている。

   さらに従来、8時45分から3時20分までだった営業時間も、夕方を好むお客さんが多いという社員の情報から、土日は6時30分まで伸ばした。その結果、利用するお客さんも増えており、何とか昨年並みの売り上げを維持できそうだ。

   「満天ビューテラス」の広い駐車場で山頂を見上げただけで帰ってしまうお客さんには端から声をかけ、頂上の素晴らしさを熱く語り営業している。リフトから降りてきたお客さんからは、「素晴らしい景色が堪能できた、上って見てよかった」と感謝の言葉ばかりだ。

   良いものを売るのに遠慮はいらないということだろう。

 今は苦しいが種を蒔く時 

  現在でも空いた時間を見つけては、社員全員での営業は続いている。社員一人一人が会社を自分の会社と考え頑張ることで、このコロナをチャンスにして切り抜ける可能性は高まろう。

   このようにコロナだからといって、営業を休んでしまうのではなく、安心・安全を確保したら、「営業のチャンスができた」と基本に立ち返った努力をすれば成果はでることを教えてもらった気がする。

   コロナで苦しい中ではあるが、今はそうした種を蒔く時なのだと思う。

 

(初出)SBCラジオ「Jのコラム」2020年8月24日放送より

 

 

 

 

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