テレワークの安定運用に向けたポイント<2020.8.12>

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最終更新日: 2020年8月12日

 長野県内でも導入企業が徐々に増加

 在宅勤務やモバイルワークなど職場以外の場所で働くテレワークは、新型コロナウイルスの感染防止策として、首都圏などの都市部を中心に急速な広がりをみせています。
 当研究所が行った県内企業に対するアンケート調査結果によると、テレワーク(在宅勤務)を導入した企業は、今年4月時点で18.1%、7月時点で32.8%と長野県内でも徐々に増えています。

初めてテレワークを実施した際の問題点

 しかし、国土交通省の今年3月の調査によると、初めて在宅勤務を実施した就業者が感じた主な問題点として、「会社でないと閲覧・参照できない資料やデータなどがあった」、「会社のテレワーク制度が明確でないため、やりづらかった」、「同僚や上司等との連絡・意思疎通に苦労した」などのほか、「自宅における実施環境を整えられず集中できなかった」といった課題も指摘されています。
 当研究所では、新型コロナへの対応によりテレワークを導入し、今後も運用継続を予定している長野県内企業へのヒアリングから、テレワークへの対応状況や課題を6つの視点でまとめ、それらを基に安定的な運用に向けた主なポイントを考えてみました。

テレワークの安定運用に向けた6つの視点と主なポイント

(1)社内運用制度:利用時間や使用機器、必要な費用の負担などについて定めた社内規定や、本人認証の方法、情報漏洩などの注意点をマニュアル化した手引きなど、テレワークを円滑に実施するための明確なルール作りが必要となります。また、事前の研修や試行期間の設定も重要です。
(2)導入範囲の設定:事務系の職種やIT業種等を中心に、業務内容を考慮した上で部課や業務グループ単位で在宅・出社のローテーションを組む企業が多いようです。ただ、営業職などを出社に戻す企業もあり、導入の効果を定期的に検証し、実施の範囲や頻度を見直していく必要があります。
(3)労務管理・人事評価:時間管理の方法や評価制度について、テレワーク用のものがなく、従来の制度を変えずに対応している企業が多いようです。従業員に対する公平性の観点から、従来の方法がテレワークにおいても最適か否か検証しながら運用していくことが大切です。
(4)意思疎通:社内ではWeb会議システムやチャット機能を組み合わせて活用し、役員など上席者も含めて業務内外で積極的なコミュニケーションを図ることが有益です。中には、オンラインによるランチ会や飲み会を企業が推奨し、飲食費の一部を補助する例などもあります。
(5)システム面の整備:会社で使用しているノートPCを自宅に持ち帰るか、テレワーク専用の端末を貸与する対応のほか、個人所有PCの利用を認めている企業も一部あります。専用端末や個人所有PCを使用する際は、機能を入出力に限定したシンクライアント端末として設定し、データの処理や保管は社内サーバやクラウドで管理するなど、情報漏洩対策を重視することが求められます。
(6)自宅における作業環境:机や椅子など各種備品の調達や家族への対応などの点で、どうしても自宅における適切な業務環境が整わない場合には、出社勤務との併用など柔軟な運用がポイントです。

 

※県内におけるテレワークの導入状況や安定運用のポイントについては、経済月報2020年8月号掲載のトピックス「新型コロナ対応で導入が広がるテレワーク」で詳しくレポートしています。ぜひ、ご覧ください。

(2020.8.12)

 

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