新型コロナによる長野県経済への悪影響さらに広がる<2020・5・14>
県内企業への影響、「既に影響がある」は77.5%
新型コロナウイルスの感染拡大が広がる中、4月には「緊急事態宣言」が首都圏に続き、全国に拡大されました。こうしたことを受け、当研究所では、3月に実施した緊急アンケートに引き続き、4月に県内企業への影響を探るため「新型コロナウイルスの影響に関する調査」を4,200社に実施し、658社から回答を得ましたので調査結果をご紹介します。
まず、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自社への影響について尋ねると、「既に影響が出ている」という回答が全産業で77.5%、「現状影響は出ていないが、今後出る見込み」が20.1%となりました。3月調査では「既に影響が出ている」(53.5%)と「現状影響は出ていないが、今後出る見込み」(31.8%)を合計すると、8割の企業に影響が及ぶ見通しでしたが、今回の調査では9割を超えており、さらに影響が広がりました。
主要4業種でみると、サービス業で「既に影響が出ている」という回答が86.0%と最も多く、次いで卸小売業85.1%、製造業76.8%となりました。また、影響の大きいサービス業のうち、旅客業、飲食業、ホテル旅館業は、前回調査に引き続き回答企業のすべてが「既に影響が出ている」という回答となっており、行動自粛が一層強化された中、深刻な状況が続いています。
感染拡大に伴う具体的影響、「資金繰りの悪化」が増加
現在生じている具体的な影響について尋ねると、一部で事業活動にプラスの影響がみられますが、マイナスの影響に対する回答が多くを占めました。プラスの影響については、「原油等原材料価格の低下」(12.0%)、「新型肺炎対策関連製品(マスク等)やサービスの需要増」(6.7%)などがみられました。一方、マイナスの影響では「国内での生産・販売・サービス活動等の縮小」が59.3%と最も多く、次いで「マスクや消毒液等の不足による労働環境への影響」(48.3%)、「資金繰りの悪化」(27.3%)などとなっています。
今後のマイナスの影響について尋ねると、「国内での生産・販売・サービス活動等の縮小」が59.8%と最も多く、次いで「マスクや消毒液等の不足による労働環境への影響」(52.8%)、「資金繰りの悪化」(46.7%)などとなっています。特に「資金繰りの悪化」の回答が大幅な増加となりました。主要4業種では、製造業と卸小売業では「国内での生産・販売・サービス活動等の縮小」、建設業、サービス業では「マスクや消毒液等の不足による労働環境への影響」が最も多くなっています。また、「資金繰りの悪化」への回答は、製造業、卸小売業、サービス業で約半数を超えており、特にサービス業のうち観光関連産業では、いずれも7割を超えるなど前回調査に比べ回答割合が増加しています。
年内の収束予想が約6割
国内における感染拡大の収束時期の見通しを尋ねると、「7-9月」が32.6%と最も多く、次いで「10-12月」(31.5%)、「1年後以降」(17.6%)となりました。「4-6月」は1.6%にとどまり、短期的な収束は難しいと感じている企業が多く、夏場から年内の収束を予想する企業が約6割となっています。
足もとでは厳しい経営状況が続きますが、多くの企業が期待する年内の収束に向けて感染防止の行動を自らが徹底し、まずは感染拡大を抑え込むことで長野県経済を立て直していくことが必要です。
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