コロナ禍と善光寺御開帳<2020・04・25>

印刷

最終更新日: 2020年4月25日

広がる感染、経済活動にブレーキ 

    新型コロナウイルスを取り巻く情勢は刻一刻と悪化しており、今月の16日には「緊急事態宣言」の対象地域が全国へと拡大された。感染防止には人と人の接触を断つことがポイントとなるため、5月のゴールデンウイークでの全国的な人の行き来を遮断することが目的だ。感染拡大防止という目的のために、経済活動にブレーキをかけたとも言える。
  「緊急事態宣言」を受け、5月までを休業としたホテル・旅館も多い。強制的な消費抑制策により、小売業や観光関連業には大きな影響が及んでいる。

中止される大型イベント

 人の密集から感染拡大が懸念される多くのイベントも中止されている。
   4月に咲き乱れる桜の花見を楽しみにしている人は多いが、ほとんどの桜祭りは中止されている。また、4月19日に予定していた「第22回長野マラソン」でも、約1万人のランナーや大会を支えるボランティア、スタッフ、沿道の応援など、密集の機会が多いことから中止を判断した。そして、今年50回目の記念大会が8月に予定されていた「長野びんずる」でも、祭り当日には、例年20万人の人出があり感染が広がるリスクが大きいことから、開催を中止としている。

来年は特大イベント「善光寺御開帳」がやってくる  

  こうした動乱の中、長野県の一大イベント善光寺御開帳がちょうど1年後に迫っている。多くのイベントが中止される中、善光寺御開帳も開催はどうなるのか。今から心配だという声が早くも聞こえる。
   しかし、その立ち位置を確認した場合、「心配には及ばない」と言える光景が見えてくる。善光寺御開帳はその都度、自然災害などの犠牲者の鎮魂や社会動乱を収めるように開催されてきた。過去5回の開催を振り返ってみよう。
  前回2015年は14年のエボラ出血熱や、御岳山噴火による多くの犠牲者の鎮魂のための御開帳だったように思う。
  2009年はリーマン・ブラザーズが経営破綻した翌年で、その動乱を収めるような開催だった。2003年は02年11月に中国でのSARSコロナウイルスが発症した翌年に当たる。御開帳の開催を経て、程なくSARSコロナウイルスは沈静化した。
  1997年の開催と同時に、3%だった消費税が5%に引き上げられた。冷え込む個人消費を御開帳での消費が必死に支えたのではないか。
  1991年は日本のバブル崩壊の時期と一致する。経済が急激に縮んでいく中を、388万人の参拝者を迎え御開帳は盛大に開催された。

  外出自粛により開催がされないどころか、だからこそ開催されるのが御開帳だと期待している。もはや、困ったときは神頼みしかない。
  「善光寺前立本尊様、我々をコロナ禍から救ってください」毎日手を合わせては祈っている。

 

(初出)読売新聞長野版「しなの草子」(2020年4月25日)を一部加筆修正
 

 

 

 

 

関連リンク

 

 

 

 

  

このページに関するお問い合わせ

産業調査

電話番号:026-224-0501

FAX番号:026-224-6233