期待されるサイクルツーリズムの広がり<2020.3.24>

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最終更新日: 2020年3月24日

 観光庁がナショナルサイクルルートを選定

 「サイクルツーリズム」とは、サイクリングと旅行を一体で楽しむ観光のことです。これまでも旅行先で自転車を借りる「レンタサイクル」などはありましたが、より長距離を周遊したり、自転車に乗ること自体を目的とする観光が広がりつつあります。
 観光庁では地方への誘客を図るため「テーマ別観光」を促進しており、そのテーマの一つとして2017年度にサイクルツーリズムを選定しました。
 19年からは、日本を代表する自転車観光のルートとして「ナショナルサイクルルート」を指定する制度を開始しています。第一弾として、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ「しまなみ海道サイクリングロード」、滋賀県の琵琶湖を一周する「ビワイチ」、茨城県の筑波山と霞ケ浦を結ぶ「つくば霞ケ浦りんりんロード」の3カ所を認定しました。
 サイクルツーリズムの普及により、特に近年増加するインバウンドを地方に誘致して、滞在日数を増やし観光消費を促すことが期待されます。また、その他のメリットとして、自転車の活用で利用者の健康促進につながる点や、二酸化炭素を排出しないため環境にも優しい点、自動車から自転車へと移動手段が変わることで、渋滞緩和や交通事故減少といった効果も挙げられます。

長野県における「Japan Alps Cyclingプロジェクト」の始動

 長野県内でも、サイクルツーリズムを官民一体で促進するため、19年6月に「Japan Alps Cyclingプロジェクト」という団体が設立されました。県の観光部や建設部、各市町村の他、関連する団体・事業者や観光協会などが連携し、「サイクリストに選ばれる長野」を目指して活動を始めています。
 同年12月には、県内を周遊するサイクリングルートの設定と、そのルート上に共通のロゴマークを入れた専用の道路案内標識を設置することを発表しました。ルートは、県内にある3つのアルプスや八ヶ岳の山麓と、各地の湖や田園地帯、歴史的建造物などを巡る全長約800km、標高差の累積約1万2,000m。長野県の魅力を存分に味わうことができます(下図)。
 一方、サイクルツーリズムを進めるためには、さまざまな体制の整備も欠かせません。安全に自転車に乗るための道路整備はもちろん、外国人にも分かりやすい標識や道路地図、サイクリストを受け入れる休憩所や宿泊施設なども一層充実させていく必要があります。また、こうした取り組みを国内外に積極的に情報発信していくことも重要です。
 近い将来、国内外のサイクリストや観光客が信州を訪れ、各地でサイクルツーリズムを通じた新たな交流が行われることで、観光県長野のさらなる魅力発信につながることが期待されます。


 

    〔参考〕「Japan Alps Cyclingプロジェクト」公式サイト
          https://japanalpscycling.jp/
 

(2020.3.24)

 

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