アラ還のつぶやき“趣味がない”<2020・02・29>

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最終更新日: 2020年2月29日

 

   新年を迎え還暦まで残すところ後3年となった。否が応でも定年後の生き方を考えざるを得ない。本屋で「定年後の…」、「60からの…」などの本を手に取ると、決まって趣味を持つことの重要性が説かれている。

 「趣味は?」と我が身を振り返ると、何もないことに唖然とする。生来の無精も手伝い、日常は仕事で精一杯だったというのが正直なところである。そのため、テレビなどで「陶芸」とか「そば打ち」などを趣味に持つ人を見ると、心底感心をしてしまう。

 ただ、多くはそこまで手が回らないのではないかとも思う。趣味こそ大事との高説を聞き続けていると、次第につらくなってくるのは私ばかりではないだろう。

 私のぼやきを聞いて、「損得考えずに楽しんでいるものは、なんだって趣味でしょう」と昔からの友人から諭された。そう考えるなら、休日には音楽を聞いたり、本を読んだりして楽しんでいる。ドライブも大好きだ。しかし、聴いてる音楽はクラッシックとか高邁なものは一切なく、読書にしても相当に偏っている。そもそもドライブなんか趣味なのか……。「だから、楽しいのなら趣味でしょう」その友人は言う。

 どうも深く広く知っていて、人様に披露できるようなレベルにならないと趣味と呼んではいけないと、私自身思い込んでいたようだ。しかし、よく考えてみれば、そんな高度なものはもはや仕事と呼ぶべきかもしれない。

 定年前に、人に誇れる趣味がないなどと頭を悩ませない方がいい。今、心ときめくことを大切に、何でも楽しむ。無精者にはそれが合うし、そうした方がぐっと豊かな人生になりはしないだろうか。


 (初出:2020年2月29日 読売新聞長野版「しなの草紙」)

 

 

  

 

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