動き出した「信州ITバレー構想」<2019.11.25>

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最終更新日: 2019年11月25日

 「信州ITバレー構想」を策定

 2019年9月、長野県が「Society 5.0」時代にふさわしいIT産業の集積地になることを目指して、「信州ITバレー構想」が長野県産業イノベーション推進協議会によって策定されました。
 本構想は、18年12月、(一社)長野県経営者協会、長野県立大学、当研究所の三者が長野県へ要望書を提出したことを契機に、検討を重ね、取りまとめられたものです。

長野県内にIT産業の集積を図る

 長野県内では、中信、南信地域はそれぞれ医療、航空機関連の産業集積が着実に進んでいます。一方の東北信地域においては、新幹線など首都圏とのアクセスの良さを生かし、成長が期待される情報サービス・ソフトウェア産業を中核としたIT産業の集積地となることが望まれています。さらに、県内にITソフトウェア産業が集積することにより、さまざまな産業がその技術の恩恵を享受し、県内の幅広い企業で付加価値や生産性の向上といった相乗効果が生まれることが期待されます。
 構想実現に向け、「若者をはじめ多様なIT人材の育成・誘致・定着」と「共創による革新的なITビジネスの創出・誘発」を大きな柱とし、民間企業、経済団体、教育機関、自治体などにおけるさまざまな取り組みを支援するとしています。
 特に、本構想のフラッグシップ事業として、19年5月に設立された(一社)長野ITコラボレーションプラットフォーム[NICOLLAP(ニコラップ)]による、「善光寺門前イノベーションタウンプロジェクト(ZIT構想)」があります。これは、善光寺門前界隈を拠点に県内の若手経営者を中心としたコミュニティを形成し、イノベーションに対する議論を重ね、起業家育成の仕組みをつくるものです。また、海外から優秀なIT人材を招聘し、人材不足を補う事業にも取り組んでいます。

キックオフシンポジウムにて構想の実現に向けた意見交換を実施

 構想のスタートに当たり、2019年9月17日に「信州ITバレー構想キックオフシンポジウム」を開催しました。構想の進展に不可欠な地域創生や先端の技術動向についての基調講演のほか、県内のIT企業経営者や有識者らによるパネルディスカッションでは、長野県の魅力や今後の具体的な事業構想に関して有益な意見交換が行われました。参加した講師やパネリストからは、構想の実現に向けたポイントとして、IT企業やユーザー企業、大学(学生)など当事者各々が「主役」の意識で活動し、互いに連携、協業、コラボレーションすることの必要性が指摘されました。
 なお、構想の推進体制組織として、産業界、支援機関、教育機関、自治体などによって構成される「信州ITバレー構想推進協議会(ネットワーク)」(仮称)が設置されます。現在、設立準備のための協議が行われており、今後の本格始動に向けた体制づくりが始まりました。当研究所も、引き続き構想推進のメンバーとして参画し、各種調査業務や事業提案等の役割を担っていきます。

 

※シンポジウムの詳細は、経済月報2019年11月号掲載の「特別セミナー 信州ITバレー構想 キックオフシンポジウム」でご紹介しています。ぜひ、ご覧ください。
 

    〔参考:長野県産業労働部 創業・サービス産業振興室「信州ITバレー構想」〕
       https://www.pref.nagano.lg.jp/service/shinshu_itvalley
 

(2019.11.25)

 

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