「ものづくり大賞NAGANO 2019」大賞受賞企業にみる企業力            

                           <2019・11・8>

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最終更新日: 2019年11月8日

ものづくり大賞NAGANO2019決まる 

   毎年開催している「ものづくり大賞NAGANO」、今年で10回目となる。信越放送と長野経済研究所が事務局となり、長野県知事、日本銀行松本支店、信州大学など9機関からなる「ものづくりNAGANO応援懇話会」により選定されている。
 今年は岡谷市の株式会社ダイヤ精機製作所、諏訪市の株式会社共進、下伊那郡高森町の株式会社協和精工の3社が大賞を受賞した。受賞のポイントは、高い技術力の他、地域貢献や連携など、地域に根差すものづくり企業としての底力だ。この3社は、経済産業省が地域経済をリードする中核企業として認定した「地域未来牽引企業」にも選定されている。

精密微細加工を極めるダイヤ精機製作所

 株式会社ダイヤ精機製作所は、精密機械器具を製造し、工作機械や自動車関連の部品を多く製造している。主力商品のコレットチャック(工作機械本体に切削用の工具を取り付ける部品)は国内シェア35%を占める。
 企業理念として「人間尊重」を基本に、短時間勤務正社員制度なども導入することで働きやすい職場を創っている。平成30年には経済産業省から健康経営優良法人にも認定されている。
 受賞理由はその微細加工技術。自社製品として髪の毛にも穴があけられる超微細穴加工機「ビサイヤ」を開発しており、その技術力が評価された。この技術を使い、今後は医療機器分野にも歩を進める意向だ。
 地域での企業連携に積極的であり、諏訪地域の企業連携体「DTF研究会」の他「岡谷商工会議所工業委員会」、「岡谷精密機械工業会」など多くの組織の会長を務める。

カシメ接合技術で低コスト化を実現、株式会社共進  

  株式会社共進は、カシメ接合技術で自動車部品を大量生産している。カシメ接合は、金属の軸と部品を溶接せずに強く一体化させる技術だ。切削加工などに比べ短時間で、高品質・低コストが実現できる技術力が評価され受賞に至った。
 経営理念は「仕事を通じて社会に貢献し、社会から必要とされる企業となる」。159人の従業員ながら5人の障がい者を採用し、障がい者法定雇用率2.2%を大きく上回る5.03%を達成している(平成30年度障がい者雇用優良事業所)。社員の子育て環境整備にも熱心であり、子育てサポート企業として厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けている。
 自動車に次ぐ主要事業として医療分野参入のため、地域の企業連携体「SESSA」を組織し、医療機器で世界市場を目指す。さらに生産性を向上させるため、諏訪東京理科大学と連携し専用のAI開発にも成功しているほか、工作機械メーカーと連携しIoT化も進めている。

「いい会社」作りを進める株式会社協和精工  

  株式会社協和精工は、産業用ロボットや医療機器などで使われるモータの動力を抑える「負作動ブレーキ」のメーカーであり、その開発・製造力が評価された。生産性向上に向けての提案活動「ホットサークル」では、年3回の発表会に向け社員のアイディアが結集する。この全社員の力を企業の力に変える仕組みが、開発・製造力を飛躍的に伸ばす。
 「いい会社」を作ろうを企業理念とし、障がい者を6人雇用しており、平成27年度の障がい者雇用優良事業所として表彰されている。さらに社員の技術力の絶え間ない向上に向け、大手メーカーの企業OBを採用し、そのノウハウを吸収すべく社内塾を開講している。これらの活動が認められ経済産業省の「新・ダイバシティ経営企業100選」にも選定されている。
 「いい会社」作りを進めてきた結果、従業員もリーマンショック後約2倍に増加し、現在160名を超える。

ものづくりは人づくり  

  「ものづくりは人づくり」というが、今回の受賞企業はいずれも「人づくり」の名手だ。
 バックボーンにあるのが、社員尊重、地域尊重の企業理念だ。「この会社は自分の会社だ」と熱く燃える社員が、一丸となって開発に当たる。当然に自社だけでは壁に当たることが多い。地域から認められ、多くの仲間との協力体制が出来ていることから、ピンチには外部との「連携力」で乗り越えてきている。
 技術力だけでなく、企業経営の姿勢でも地域をけん引するこれら企業の大賞受賞は、県内各地を元気にすることにつながっていくと思う。
 当研究所でも、このような企業を今後もどんどんと皆さんにお知らせしていきたい。
 

 

 

 

 

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