SDGsを中小企業の新たな経営戦略ツールに<2019.10.10>
中小企業のSDGs認知度は15.8%
SDGs(エスディージーズ)は「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月の国連サミットで採択されました。国連加盟国が2016年~30年までの15年間で達成するために掲げた17の開発目標と169の具体的なターゲットで構成されています。目標達成には、規模の大小や業種を問わず、あらゆる企業の前向きな取り組みが重要となりますが、中小企業のSDGsへの認識はまだ乏しい状況にあります。
関東経済産業局が1都10県の中小企業を対象に行ったアンケート調査によると、SDGsの認知度は15.8%にとどまっています(図表1)。また、「SDGsについての対応を検討・実施していない企業」に「SDGsの印象」を聞くと、図表2のとおり、取り組みの必要性は理解するものの実行に移せていない企業が半数以上を占めています。さらに、「自社には関係ない」、「優先度は下がる」といった、取り組み自体に否定的な企業も4割を超えています。
長野県は「SDGs推進企業登録制度」を創設
こうした状況に対し、関東経済産業局は中小企業のSDGsへの取り組みを促進するために、長野県と連携し、県内の各機関や有識者の参画による「地域SDGsコンソーシアム」を全国に先駆けて2018年に立ち上げました。ここでの1年間にわたる検討会議により、19年2月、自治体がSDGsに取り組む地域の中小企業を後押しするための参考ツールとなる「支援モデル」を発表しました。
そして長野県は、この「支援モデル」を長野県版にカスタマイズした、「長野県SDGs推進企業登録制度」を創設しました。この制度は、各社が県の定めた要件に沿って自社の企業活動とSDGsを紐付けして登録するものです。登録された企業は、企業活動のPR強化やビジネスチャンス拡大につながることが期待されるとともに、登録に向けた取り組みを通じて事業内容を改めて整理し、SDGsを意識した活動や持続可能な経営への転換を促すことを狙いとしています。19年7月に公表された第1次登録企業は80社に及び、以降も継続して登録企業を募っています。
SDGsを経営戦略の新たなツールに
今後は、ビジネスのあらゆる面でSDGsが重視されることが予想され、取り組みの有無が非財務面での評価ポイントとして他社との差別化につながる可能性が高いといえます。県内の中小事業者においても、SDGsを経営戦略の新たなツールとし、持続可能な将来に向けて何ができるか考え、出来ることから行動に移すことが必要ではないでしょうか。
※中小企業のSDGsへの対応については、経済月報2019年10月号掲載の「SDGsを中小企業の新たな経営戦略ツールに」で長野県内企業の事例を踏まえてレポートしています。ぜひ、ご覧ください。
(2019.10.10)
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