高齢単独世帯の増加の影響<2019・07・08>

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最終更新日: 2019年7月8日

我が国の世帯数は2023年をピークに減少

    国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が今年4月に公表した「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)』(2019年推計)によると、長野県の一般世帯数(以下世帯数という)は2020年の80万5千世帯をピークに減少し2040年は73万6千世帯となり、2020年に比べ8.6%減少する見通しです。
 一方、同研究所が2018年に公表した日本の世帯数は2023年の5,419万世帯をピークに、2040 年には5,076 万世帯となり、2023年に比べ6.3%減少する見通しです。世帯数のピークは長野県が全国よりも早く迎え、減少率も大きくなっています。
 日本のこれらの世帯数を家族類型ごとにみると、特に単独世帯(1人暮らし)の増加が顕著で2032年まで増え続ける見通しです。全体に占める単独世帯の割合も2015年の34.5%が2040年には39.3%になり、「夫婦のみ」「夫婦と子」などの家族類型がある中で最も高い割合の「単独世帯」の上昇がさらに続きます。背景には長寿命化に加え、団塊世代に続いて1971から74年に生まれた団塊ジュニア世代が65歳以上になることがあります。年齢階層ごとに一定の割合で単独世帯がいるため、全体の人数が多い団塊ジュニア世代では単独世代も多くなると考えられます。
 長野県でも単独世帯の増加は顕著で、世帯全体に占める単独世帯の割合は、2015年の27.9%から2040年には33.4%まで上昇します。特に単独世帯のうち65歳以上が占める割合は2015年の39.2%から2040年には51.9%と半数を超え、75歳以上でも22.8%から31.1%まで上昇し、単独世帯の高齢化が一層進むことが予想されます。 

高齢単独世帯の増加による介護需要の増加

 今後、人口減少と高齢者の1人暮らし世帯の増加が進むと、さまざまな影響が生じることが予想されます。その1つが介護の問題です。
 2016年の国民生活基礎調査によると、要介護となった方の「主な介護者」の状況についてみると、単独世帯では介護施設など「事業者」の割合が他の三世代世帯や夫婦のみの世帯に比べ大きく上回っています。単独世帯は介護になった場合には頼る家族がいないため事業者による支援がより重要になると思われます。一方で需要が増加すれば、支える側である事業者の受け皿が必要となりますが、現状では労働力不足に陥っています。今後、さらなる不足も予想され、高齢世帯の増加に備えた医療・介護体制の充実が重要になります。
 そのため現在進められている地域包括ケアシステムを通じたサポート体制の一層の整備が求められます。長野県は2018年3月に策定した「第7期長野県高齢者プラン」で2025年の長野県の目指す姿として、地域包括ケア体制の確立を目指しています。
 地域包括ケアシステムは、施設に頼らず1人暮らしの高齢者でも安心して生活できるよう地域ぐるみで支えていくネットワークです。住み慣れた地域の中で、「医療・介護」のほか、訪問介護などの「介護リハビリテーション」、見守りや配食サービスなどの「生活支援・福祉」「保健・予防」、高齢者住宅などを含んだ「住まい・住まい方」などのサービスを継続的、包括的に提供を行うものです。
 こうした取り組みを地域のサービス提供者が地域の特性に応じながらネットワークを築いていくことが求められます。
 

(初出:2019年7月3日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

 

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