2019年度設備投資計画額は、前年度実績見込額を上回る計画<2019・6・17>

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最終更新日: 2019年6月17日

全産業の2019年度の設備投資計画額は、前年度実績見込額に比べ2.2%の増額計画

    当研究所は、県内企業を対象にした「設備投資動向調査」を年2回実施しています。4月には年度の当初計画を調査し、10月には年度の実績見込額と当初計画に対する修正状況を調査しています。今回は、4月に実施した県内企業の19年度当初計画の状況についてご紹介します。
 19年度当初計画額は、全産業で前年度実績見込額に比べ2.2%の増額計画となりました。業種別では、製造業が同△1.9%の減額計画、非製造業は同+16.8%の増額計画となりました。当初計画時点で3年ぶりに製造業が前年度実績見込額を下回りました。

製造業の投資計画額は高い水準が続く

   製造業の19年度当初計画は減額計画となりましたが、前年度の高い水準からみれば、19年度も引き続き底堅い計画とみられます。また、19年度当初計画額と前年度実績見込額に比べ「増額計画の企業割合」と「減額計画の割合」の差を示した企業設備投資DIをみても+10.0%ポイントとなっており、前年度を上回る企業が多くなっています。業種別でも製造業、非製造業ともに設備投資DIはプラスとなっています。製造業では自動車関連をはじめ半導体関連需要の増加から増産に向けた投資が続く計画です。
 製造業全体の設備投資額の4割を占めるのが電気機械であり、昨年度まで二桁の伸びを維持してきましたが、19年度の当初計画では前年度比で△0.1%とほぼ横ばいの計画となっています。
このほか製造業全体の2割を占める一般機械についても、前年度は二桁の伸びでしたが19年度当初計画は△15.1%の減額計画となりました。
 こうした中で底堅さがみられるのが製造業全体の2割弱を占める輸送機械です。新製品対応や生産能力増強のための投資が多く、前年度実績見込比+20.0%の増額計画となっています。また19年度の投資方針(かなり積極的、やや積極的、やや抑制的、かなり抑制的)についても、「かなり積極的」と回答した企業が33.3%と製造業で最も高くなっており、自動車関連の需要が底堅く、それに向けた投資も高い水準を維持していく計画となっています。
 しかし、調査時点である4月はじめの段階では、米中貿易摩擦の影響を折り込んでいない企業も多く、今後は5月以降の関税の品目拡大の影響を受け計画を下方修正することも予想されます。 

注目される米中や日米の貿易交渉の行方

 今回の調査と同時期に実施した「米中貿易摩擦の影響に関する調査」では、貿易摩擦の影響を設備投資計画へ「織り込んでいる」という割合は全産業で12.5%、製造業でも17.8%と2割に満たない状況です。また、貿易摩擦の影響が広がる中、自社の設備投資計画の変更、見直し状況について尋ねたところ、製造業は「今後影響が拡大すれば検討する予定」が41.8%となり、米中の貿易摩擦が過熱すれば、設備投資への影響は避けられないとみられます。さらに日米の貿易交渉についても、日本からの輸出に影響を与える可能性があり、今後の景気動向や設備投資をみる上で、事態の状況を注視していく必要があるでしょう。
 

(初出:2019年6月7日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

 

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