平成の積み残した問題と令和<2019・04・19>
崩壊と共に始まった「平成」
長野経済研究所の県内消費者を対象にした昨年末の調査で、平成を表す漢字一文字について尋ねたところ、最も多かった回答は「変」となった。
平成はバブルの崩壊と共に始まった。元年末に史上最高値38,915円をつけた株価の反落を引き金に、これまで一貫して上昇してきた地価も下落に転じた。日本経済は「失われた20年」と言われる長期停滞期に入り、相次ぐ経済対策が財政を悪化させた。
同時期に東西冷戦も終結した。東側の新興国が次々に工業化に成功し、経済力を高めた。世界は一つのグローバル経済圏となり、海外で起こった経済動乱が日本経済を左右するようになった。平成13年のITバブル崩壊や平成20年のリーマンショックなど、全て海外発の経済危機であった。
人口減への転機と悪化した財政
人口も増加から減少に転じた。人口は平成20年の1億2,808万人をピークに一転している。長野県でも平成12年の221万人をピークに、現状206万人にまで減少している。一方、県内の65歳以上の高齢者は、平成元年の33万人が現状65万人と2倍近くになっている。
高齢化により今後、国や市町村の歳出は増え続ける。しかし、高齢者を支える若者は減り、国と地方を合わせた公債残高(借金)は、平成初頭は246兆円だったものが現状1千兆円を超えている。
先送りされた問題と「令和」
人口減少高齢化は自明のことだったにも関わらず、目先の景気対策に追われ財政を悪化させてきた。バブルが崩壊した上に、グローバル経済に突入するなど激しすぎる「変」だったのかもしれないが、対応が遅れ、問題を先送りしてきた時代のようにも見える。長野県にしても、高齢化率は31.2%と全国平均の27.7%を上回り、全国15位という厳しい状況にある。さらに中山間地の過疎化や、市街地の空洞化、止まらない若者の流出を見るにつけても「先送り」は他人事とは言えまい。
令和天皇の即位に向け、祝賀ムードが高まっている。景気の先行きに暗雲が垂れ込めているタイミングには有難い特需だ。しかし、先送りされた問題を祝賀ムードの喧騒の中でかき消してはなるまい。
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