借金を重ね給料以上の生活を続けて大丈夫か<2019・03・04>

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最終更新日: 2019年3月5日

友人からの深刻な相談 

  経済研究所に勤めていると言うと、たまに知人からお金の相談を受けることがある。個人の資産管理に関する仕事はしていなのだが、先日深刻な相談を受けた。
  その知人は中堅どころの会社に勤めており、33万円ほどの月収がある。ところが、生活費がそれ以上にかかり、毎月5万円の赤字となっている。さらに過去の住宅ローンなどの残高も5,300万円ほど抱えており、その返済12万円を合わせると、毎月17万円の借り入れが必要になっているのだという。どう家計を立て直したらいいのか。

身の丈に合った生活に

  こうした際には「出ずるを制して入るを量る」が基本だ。先ずは、給料で賄える身の丈に合った生活に改めなくてはならない。生活費まで借り入れに頼っていては、子供に借金を押し付けることになりかねない。そして、生活費を収入内に収めた後は、「入るを量る」。つまり、勤め先での給与を上げたり、奥さんが専業主婦の場合には共に働くなど、収入を増やす努力が必要だ。それにしても、これだけローンがあるのに借り入れを続ける知人の暮し振りには、不安を抱かざるを得なかった。

日本の財政問題 

  ここまで読んでお察しの方も多いと思うが、この知人、実は「日本の財政」なのである。上記は、財務省が発行している「日本の財政関係資料」にあるコラムからのものだ。
  この資料によると、日本の財政は、現在、年間64兆円の収入(税収等)に対し生活費(基礎的財政収支対象経費)が74兆円かかっており10兆円の赤字を重ねている。債務残高は地方も合わせると1,107兆円、国だけでも883兆円に上り、その返済23兆円と合わせると年間34兆円程度の赤字となっている。この赤字を何十年も国債で賄ってきた結果が、1千兆円規模の債務となっている。今後、高齢者の急増で、最も大きな歳出となっている社会保障費はさらに膨張を続けていく見通しだ。


  「知人」は子供に借金を担わせずに済むのだろうか。出ずるを制して入るを量るは、焦眉の急となっている。

 

 

 

 

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