始まる就活、長野県企業を知ってますか?<2019・02・05>

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最終更新日: 2019年2月5日

始まる就職活動、強まる大手志向

   早いもので就活生にとって来月には、企業へのエントリーが始まる。人手不足の売り手市場で今こそ大企業に就職するチャンスだと、大学生の大手志向は強まるばかりである。
 親も名の知れた大手企業への就職には大歓迎で、大学に出した甲斐があったと胸を張る。「地元には就職するような企業がないから」という声をよく聞くところだ。本当だろうか。
   

知ってますか?長野県の優れた経済ポテンシャル

   長野県経済や企業の実情を少々伝えたい。長野県発行の「長野県産業立地ガイド」でも詳しいので、インターネットなどでご覧いただきたい。
   長野県内の企業数は10万社を超え、全国15位と群馬県や金沢市がある石川県よりも多い。経済規模は全国18位で三重県と肩を並べる。国ではミャンマーやルクセンブルクより大きい。
   製造業も強い。情報機器製造業の出荷額は全国1位、電子部品製造業は全国3位だ。さらに過去10年間の研究所立地件数では全国6位となっている。世界トップシェアや国内トップシェアの製品を持つ企業も少なくない。
   また、全国トップシェアの農作物は113品目、ワイン用のブドウは1位、ワイナリーは2位。森林セラピーを行える基地や日帰り温泉数も全国1位だ。
   これらを求めての観光客も増えており、全国都道府県の中で9位の宿泊者数となっている。

確かに給与は違うが、総合的にはどうなのか

 「給与が違う、都会は高い」という話もよく聞く。しかし、物価水準は長野市の97.2に対し、東京都区部では105.2と高い。さらに東京都区部に住むとなるとこれに加え家賃として月々約9万円、年間約100万円が消えていく。また、平均通勤時間も長野県が35分なのに対し、東京都は57分と倍の時間を移動に使っている。
   これでも東京都近隣でずっと暮らせればいいのだろうが、大企業には全国転勤がつきものだ。北海道から九州まで転勤を繰り返してきた知人が言っていた。「子供が小学校に上がる頃からは単身赴任だった。一緒に暮らす頃には子供は成人し、家から出ていたよ
」。
   そして、老後だが、現在でも高齢者の約3割が首都圏に集中している。さらに2025年には介護が必要な人の数が現在の2.5倍に増える。介護職員や受入施設は全く足りずに、介護難民が溢れることが懸念されている。
   果たして、東京では、これらをカバーしてもなお余る賃金がもらえるのだろうか。

人生は長い、家庭を持ってからを考えるなら・・・

 「遠くをはかる者は富み 近くをはかる者は貧す」とは、二宮尊徳の教えだ。
 就職の後には、結婚をして、子供を持つ。目先の給与の多寡ではなく、家庭を持つことまでを考えた際に、東京の大企業という選択はどうなのだろう。NPO法人ふるさと回帰センターの調査によれば、長野県は「移住したい県」として何度も1位となっている。子育て世代となった上京組が、こぞって長野県への移住を考えているということではないか。
 もちろん大いなる志があって、東京に出ることになんら反対をするものではない。しかし、長野県の優位性や産業、優れた企業を全く知らずして、故郷を後にしてしまうのは、なんとも勿体ない。
 我々、親世代もいつまでも灯台下暗しでいいのだろうか。

 

(資料)小澤吉則「しなの草子」『東京で就職 熟考を』読売新聞長野版(2019年2月2日)、
     長野県「企業立地ガイド」

 

 

 

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