長野県内の産業用ロボット関連事業の動向<2018.12.12>

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最終更新日: 2018年12月12日

 長野県の産業用ロボット関連出荷額は全国5位

 世界的な景気拡大に伴う生産能力の向上や人手不足、新興国の人件費高騰等を受け、産業用ロボットの需要は増え続けています。産業用ロボットの出荷額は増加傾向にあり、今後も世界的な市場の拡大が見込まれています。
 長野県の産業用ロボット関連の製造品出荷額等は、全国5位と上位にあり、業界内で一定の存在感を有しています(図表1)。また、県内の産業用ロボットの製造品出荷額等の推移は、足元では増加基調にあります(図表2)。
 こうした状況下、県内ではロボット関連事業の拡大や、新たに事業参入する企業が相次いでいます。中でも、近年は市場の成長を見据えて、新たに産業用ロボットを動かすシステムの分野に参入を図った企業が散見されます。

製造業の知見を活用しロボットシステム事業へ参入

 三和ロボティクス(株)(飯田市)は、アルミ等の精密切削加工を本業とし、少量多品種の部品加工に対応していく上で作業の自動化が不可欠との判断から産業用ロボットの導入に踏み切りました。2013年以降、産業用ロボットの導入を続けたことで、既存の加工機と新たに設置するロボットを連動させるシステム関連の技術やノウハウが蓄積され、徐々にロボットシステムや自動化設備の開発分野も強みとなりました。こうした技術や強みを生かし、17年、複合旋盤やNC旋盤に材料をセットし、加工後に取り外しを行うロボットシステム「NEXSRT(ネクサート)」を開発しました。18年11月にはマシニングセンター用のNEXSRTを新たに商品化し、受注を伸ばしています。
 インフィニティソリューションズ(株)(上田市)は、CAD/CAMのシステムプログラムによる製造業の支援設計や金型の開発・製造を主力とし業容を拡大してきました。しかし、これらの業務が成熟化し、市場が頭打ちとなりつつある中で、新たな事業の柱を模索していました。そうした中、ロボットに関する国の戦略や市場の拡大を見据え、16年、強みであるCAD/CAMプログラムを組み込んだ産業用ロボットの販売事業を立ち上げました。ドイツの世界的な産業用ロボットメーカーKUKA(クカ)と連携し、高精度・高剛性なロボットに顧客の自動化ニーズを反映した同社の専用プログラムを搭載した、付加価値の高いトータルロボットシステムを提供しています。

自社の強みを生かし、変化するニーズに対応する能力が求められる

 産業用ロボット関連市場への参入を目指す企業には、上記の両社のように、自社の強みを生かし、変化するニーズにも柔軟に対応していく能力が求められます。こうした能力を備える企業は県内に多く集積しており、産業用ロボット分野は、今後狙うことができる市場の1つではないでしょうか。

 

※産業用ロボット事業については、経済月報2018年12月号の調査「成長分野として注目される産業用ロボット関連市場の動き」で長野県内の事例を詳しくレポートしています。ぜひ、ご覧ください。

(2018.12.12)

 

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