2018ROUTE日本海‐太平洋シンポジウム報告<2018・11.02>

印刷

最終更新日: 2018年11月6日

議論された「都市を繋ぎ、未来へ繋がる、中部横断道」

   11月2日(金)に佐久市にて、「2018 ROUTE日本海-太平洋シンポジウム」が開催されました。このシンポジウムは、今年4月に八千穂高原ICまで延長した中部横断自動車道の全面開通にの向けての気運を高めるため、関係する新潟県、長野県、山梨県、静岡県のいずれかの地域で毎年開催しているものです。
  今回は会場を佐久市に、国土交通省関東地方整備局道路部長の山本悟司氏の基調講演とパネルディスカッション「都市を繋ぎ、未来へ繋がる、中部横断道」が行われました。パネルディスカッションでは、佐久市栁田清二市長、小海町黒沢弘町長、佐久商工会議所樫山徹会頭に登壇いただき、私がコーディネーターを務めました。そこでの高速自動車道が地域に及ぼす影響や八千穂高原インターチェンジまで延伸した効果、全面開通に求められる事など議論の一部を紹介します。

高速自動車道開通により佐久市では企業8社の誘致に成功

 まず、佐久市栁田清二市長から、高速道路が佐久市に及ぼした影響についてお話いただきました。
  佐久市では、高速交通網の設置が遅れた地域でしたが、1993年に初めて上越自動車道佐久インターチェンジが開通しました。それに伴い佐久市の持つ、天災が少ない、活断層が確認されておらず地震が少ない、晴天率が高いことなどの優位性をセールスポイントに企業誘致を進めてきました。そして、2011年に中部横断道の佐久南IC開通に至る訳ですが、現在までに8社の企業誘致に成功し、佐久市内の工業団地は全て売却となっています。
  「千に一つ」と言われるように、企業誘致は千社にアプローチして1社成功すれば御の字です。そうした中、企業にとって優位な佐久市の立地環境が高速道路により各地と結ばれる事で、誘致企業8社という稀な実績につながったものと思われます。

八千穂高原インターチェンジまで延伸半年で既に増加している観光客

 次に初めて高速道が開通した南佐久郡の小海町黒澤弘町長より、開通から半年の効果を伺いました。
  小海町には温浴施設「八峰(ヤッホー)の湯」や、複合リゾート施設「小海リゾートシティ・リエックス」、農産物加工直売所「プチマルシェこうみ」などがあります。ちょうど小海町の入り口に当たる八千穂高原インターチェンジが開通してから、例年以上の観光客が小海町を訪れています。また、小海町に隣接する北相木村や南相木村を訪れる人も増えています。
  さらに地域住民にとっても、従来佐久市までは、およそ1時間程度かかっていたものが、半分の30分に短縮されるなど生活の利便性が格段に向上し、町には活気が戻ってきています。

全面開通で期待される海の幸山の幸の交流と貿易拡大

 静岡市までの全面開通で期待される経済面への影響を、佐久商工会議所樫山徹会頭から説明いただきました。佐久市は果物類を始め農産物が豊富で、食品加工業が集積しています。特に醸造元が13蔵、地ビール工場が2社と酒処でもあります。これらを静岡県に販売すると共に、こちらでは新鮮な太平洋の幸を購入することで、産業の活性化が期待できます。
  また、海外輸出をする製造業者にとって、清水港が活用できることは大きな魅力です。輸出先によっては大きなコストダウンが競争力強化につながり、新たな輸出先開拓も期待できます。
 中部横断道が持つ物流強化の力に対し、地元産業界からは大きな期待が寄せられています。

全面開通のため求められる住民理解・要望の継続

 未整備区間の八千穂高原インターチェンジから山梨県長坂ジャンクションまでの区間の開通に向けて、必要な事項が栁田市長から提言されました。
  一つに、未整備区間は、農地を犠牲にしなくてはならない場所もあり、それらに該当する方々にも納得いただき、関係する人みんなが幸せになる道路を作るため、情報開示・事実説明等丁寧な取り組みが欠かせないこと。
  二つに、当地域の住民・企業全てにとってよりコストが少なく使いやすい道路とするために、その区間を国と自治体がコストを負担する新直轄方式で「無料」とすべき。これらの提言です。

 中部横断自動車道の全面開通に向けて、沿線自治体が連携すると同時に、地域住民の地道な強い要望の継続こそが求められています。

 

 

関連リンク

 

 

 

このページに関するお問い合わせ

産業調査

電話番号:026-224-0501

FAX番号:026-224-6233