今年の経済の振り返りと新年の展望 ~2018年も緩やかな回復が持続~

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最終更新日: 2017年12月29日

2018年も緩やかな回復が持続

    2017年の日本経済を振り返ると、世界経済が拡大する中、実質GDP(季節調整値)は、直近の7-9月期で前期比+0.6%(年率換算+2.4%)と7四半期連続のプラスとなりました。国内は、世界的な半導体需要や自動車関連需要の増加を背景に、製造業がけん引する形で景気回復が続きました。
    現在の景気拡大局面は、2012年12月以降続いており、戦後2番目に長かった「いざなぎ景気(57カ月)」を上回ったと言われています。来年も景気回復が続けば、戦後最長であった02年2月以降の拡大局面(73カ月)を超える可能性もでてきます。
    こうした中で2018年の日本経済を展望すると、企業業績の改善や海外経済の拡大により、設備投資や輸出の増加が続くことが期待されます。また税制面の後押しによる企業の賃上げも期待され、所得環境の改善が個人消費を下支えする見通しです。また、東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ投資も本格化する見込みです。
    一方、景気のリスク要因については、海外を中心にいくつかの不透明要素があり、米国の利上げに伴う新興市場の動揺、中国経済の下振れ、北朝鮮の地政学的リスクなどが挙げられます。

長野県も製造業を中心に回復続く見通し

    では、県内はどうでしょうか。2017年の1年間を振り返ると、全国同様、製造業の輸出関連企業を中心に景況感が改善しました。当研究所の四半期別業況アンケート調査では、製造業の景況感が98年以降で最も高い水準となりました。一方、非製造業は、観光面では信州デスティネーションキャンペーンが天候不順の影響により集客効果が限定的となったほか、個人消費も衣料品を中心に伸び悩むなど弱い動きとなりました。
    2018年の長野県経済を展望すると、引き続き緩やかに回復することが予想されます。生産面では、半導体や自動車関連の需要増加が続き、電子部品・デバイスや光学・計器などの関連業種で業況が改善する見通しです。また、製造業の回復を支えるのが設備投資です。海外・国内の需要増加に加え、人手不足への対応など省力化への投資増加が期待され、工作機械や産業機器製造業は需要の増加が続く見通しです。個人消費は、所得環境の改善が予想され、下支えすることが期待されます。公共工事は、大型工事も見込まれますが、水準としては前年を下回る見通しです。住宅投資は、年後半から消費増税に向けた動きが予想されますが、今年とほぼ同水準となる見通しです。 

期待される地域の付加価値向上

    今年、地域の特性を生かした成長性の高い産業の集積を国が支援する「地域未来投資促進法」が動き出しました。これにより、域内に立地する企業が地域経済牽引事業計画を策定し地方自治体から承認されれば、対象の企業は財政、金融支援、税制優遇、規制緩和の恩恵が受けられます。地域の経済や雇用を担う企業が、この制度を活用して成長する効果を期待した国の支援策です。
    県内では第一陣として南信州地域と上伊那地域、塩尻市の基本計画が9月に承認されました。このうち南信州地域では地域における経済効果の目標として25億円の付加価値創出を掲げています。地域産業をけん引する航空宇宙産業やメディカルバイオ産業への新たな展開、リニア中央新幹線による新たな需要の創出が期待されます。
   景気回復が続く2018年は、次なる成長産業育成のための重要な年になりそうです

(初出:2017年12月27日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

 

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