製造業の回復鮮明に、強まる人手不足感

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最終更新日: 2017年12月15日

2017年度は前年度比19.4%の増額見込み

    当研究所は、長野県内企業の設備投資の動向を調査する目的で約700社を対象に「設備投資動向調査」を年2回実施しています。6月は年度の当初計画を調査し、11月は年度の実績見込額と当初計画に対する修正状況を調査しています。
   今回の11月調査は、17年度の実績見込額が、全産業で前年度に比べ19.4%の増額見込みとなりました。業種別には、製造業が同24.8%、卸小売、建設、サービス業などの非製造業が同7.7%の増額見込みとなっています。また、設備投資DI(前年度に比べ設備投資額が「増加した企業割合」一「減少した企業割合」)をみると、全産業で+16.7%ポイントと前年度に比べ増加した企業割合の方が多くなっています。また、このDIは製造業、非製造業ともにプラスとなっています。
   次に、当初計画に対する修正状況をみると、全産業の修正率は3.3%と増額修正となりました。業種別には、製造業が2.7%、非製造業が4.7%と、ともに増額修正の見込みです。これを地域別にみると、全体の約9割を占める県内が3.0%、県外が6.5%、海外が、1.8%といずれも増額修正となっています。

ウェイトの高い電気機械で増加

    今年度の設備投資をけん引しているのは製造業です。背景には、半導体需要の増加に伴う増産投資に加え、人手不足に対応するための省力化を目的とした投資が増えていることがあります。特に半導体需要の増加については、スマートフォンの高機能化やデータセンター新設などによる需要が増加しています。このため国内の大手メーカーは増産投資を急いでおり、こうした動きが県内企業にも波及しています。
    県内製造業の産業構造の特徴として、電子部品など電気機械の割合が高いことが挙げられます。14年工業統計調査によると、県内電子部品の事業所数は365事業所と全国で最も多いほか、出荷額は、7,703億円と第1位の三重県(1兆9,433億円)に次ぐ大きさです。長野県が強みとする電気機械関連産業の増産体制が整うことで、生産面のさらなる増加が期待されます。
    因みに長野県の電子部品製造業で1単位の需要が発生した場合に、それが産業全体に対してどれくらいの生産波及効果をもたらすのかを2011年産業連関表からみると、1.34倍の効果をもたらすことがわかります。これは、例えば新たに100億円の需要が発生した場合、その他の産業に134億円の生産が誘発されることになり、大きな経済効果が期待できることになります。 

「攻めの投資」に期待

    政府は、年内に新たな経済政策パッケージを示す予定です。この中で検討されている1つが中小企業向けの設備投資減税です。現在の投資減税は、生産性の高い機械などを導入した企業の固定資産税を3年間にわたって半分にするものです。これをさらに拡充することで投資を促し、業務の効率を高め、課題となっている企業の人手不足にも対応していく考えです。「攻めの投資」により生産性がさらに高まることが期待されます

(初出:2017年12月8日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

 

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