深刻な人手不足が続く長野県経済

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最終更新日: 2017年4月17日

労働力人口の減少が続く

   仕事を探している人に対する企業の求人の割合を示す有効求人倍率が1倍を超えて3年が経過しました。人口減少下の景気回復で、日本は構造的な人手不足状況となっています。こうした中、国が5年に1度実施している国勢調査の労働力に関する集計結果が、この3月に総務省から公表されました。これによると、2015年10月1日時点における長野県内の15歳以上人口は181万2950人となりました。前回調査の2010年に比べ3万8千人ほど減少し、2000年をピークに減少傾向が続いています。このうち働く意思を持っている「労働力人口」は110万8084人となり、同4万5千人ほど減少しました。労働力人口については1995年をピークに減少傾向にあります。
  15歳以上人口と労働力人口との差は「非労働力人口」と呼ばれ、働く意思を持たない者を指します。こちらは67万7941人となっており、増加傾向にあります。非労働力人口が増加する背景の1つに高齢化があり、実際に非労働力人口のうち65歳以上は43万人と初めて40万人を上回りました。
このように県内は働き手である15歳以上人口が減少し、労働の担い手となる労働力人口も減少している状況にあります。
  なお、上記の国勢調査結果は2015年10月時点の数値であり、足元では人手不足の状況がさらに深刻になっていると思われます。長野労働局によれば、1年半前の2015年10月時点の長野県の有効求人倍率は1.30倍でしたが、直近の2017年2月は1.51倍と1993年5月の1.53倍以来となる高い水準であり、労働需給はさらにひっ迫していることがうかがえます。

期待される多様な働き方に向けた環境整備

  こうした中、非労働力人口からの労働参加を促す取り組みが求められます。労働参加を促す取り組みとしては、主に4つが考えられます。
  1つ目は非労働力人口の6割を占める高齢者層の労働参加を促すことです。労働時間などで大きな負担をかけられない高齢者には、フルタイムでなくても働ける時間に合わせた短時間勤務の制度を整備するなど、柔軟な働き方ができる仕組み作りも必要です。
  2つ目は女性の労働参加を促す取り組みです。日本の特徴として結婚・出産などを迎える20代後半から30代に労働参加が大きく落ち込む時期があり、この年代の落ち込みが英文字の「M」に似ていることから、M字カーブとも呼ばれ、指標として労働力率(労働力人口/15歳以上人口)が用いられています。
  長野県では、女性の労働力率の中でも特に低いのが30~34歳です。20年前の1995年は56.6%と6割に届かない状況でしたが、2015年には73.4%まで上昇しています。他の年代と同程度の水準である8割が視野に入ってきており、労働力人口を増加させることが期待され、今後も働きやすい労働環境づくりなどの継続した取り組みが必要です。ただ昨今の人手不足の状況をみると、この年代の押し上げだけでは補いきれないのは否めません。
  3つ目に外国人労働者の受け入れを増やすこと、4つ目にはITやロボットを活用し労働生産性を高め人手不足を補う取り組みです。こうした総合的な取り組みを通じて労働力の底上げを行うことが重要です。
  多くの年齢層や性別を問わず働くことができる社会を実現するために多様な働き方ができる環境の整備が求められています。  

(初出:2017年4月8日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

 

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