再生可能エネルギーの固定価格買取制度が改正されます<2017.3.29>

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最終更新日: 2017年3月29日

 長野県内の未稼働太陽光発電は114万kW分

 2017年4月より「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(FIT法)」が一部改正され、固定価格買取制度が変わります。従来の制度では、利益増大を狙う業者が高い買取価格での認定を受けておきながら、ソーラーパネルの価格が下がるまで長期間発電事業を始めずに待ち続けるなどさまざまな問題があり、これを是正するものです。
 これまでも部分的に事業開始を促す措置が取られてきましたが、未稼働案件は多く、資源エネルギー庁(16年11月末時点)によると、長野県内でも、設備認定済みの太陽光発電193万kW(約6.1万件)のうち、未稼動分が114万kW(約1.7万件)あります。

主な改正ポイント ~太陽光発電には運転開始の期限や入札制度を導入~

(1)今回の改正に伴い、既に認定を受けている案件も、17年3月末までに電力会社との接続契約が締結できていない場合には、原則、認定が失効することとなります。
(2)さらに新制度では、従来の「設備認定」が「事業計画認定」に改められて電力会社との接続契約の締結が要件化され、事業実施の確実性の高い案件が認定されるようになります。
(3)また、太陽光発電においては、発電容量に応じて認定取得から運転開始までの期限(10kW以上は3年、10kW未満は1年)が設けられます。
(4)調達価格面に関しては、2000kW以上の太陽光発電設備を対象に、新たに入札制度が導入されます。全国一律に入札が実施され、落札した案件が認定を取得でき、落札した価格が調達価格となります。(初回の入札は今年10月に実施される予定)

制度改正による事業者への影響 ~事業の適切な運営が求められる~

 このように、新たに太陽光発電を行う事業者については、計画の実現可能性の判断や関係法令の遵守など、事業の適切な運営が一層重要になります。また、定期的な設備のメンテナンス等を実施する仕組みを整備するとともに、周辺環境への配慮といった観点から行政や近隣住民との良好な関係性を構築することが求められます。
 入札制度の導入により、大規模な太陽光発電事業は競争入札になります。事業計画にあたっては、長期的な視野でコスト削減が図れるよう立案するなど、競争力を高める戦略が求められます。
 他方、太陽光発電設備の販売や設置を手掛ける事業者にとっては、最近は買取価格の引き下げなどにより新規案件が減少していましたが、今回の改正により、失効しなかった案件については着工が促されることとなり、当面は一定の需要が見込まれます。そうしたなか、発電事業者が今後必要とする、コスト面で有益な新設備の情報や工法、保守内容などを積極的に提供・提案することで、より幅広いニーズに対応していくことが期待されます。

※詳しい改正内容等は、資源エネルギー庁HPをご参照ください。
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/kaisei.html

(2017.3.29)

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