製造業の景況感は改善するも、先行きへの慎重姿勢続く長野県経済

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最終更新日: 2017年3月10日

県内主要産業の天気図は一部で明るさも

   当研究所は、四半期ごとに長野県内の業界の景況感を調査するため、県内企業約160社を対象に「産業別四半期見通し調査」を実施しています。今回は1月調査の結果についてご紹介します。本調査は、アンケート調査とヒアリング調査をもとに、県内産業の「現況」や「見通し」を天気マークで表しています。「晴れ」は「好調」、「薄日」は「順調」、「曇り」は「普通」、「小雨」は「低調」、「雨」は「不調」を表しています(図表)。
 産業別にみると、製造業は2016年10-12月期の現況、17年1-3月期の見通しとも「曇り」とする業種が多くなっています。製造業のうち「半導体製造装置」は、半導体を増産する中国での装置需要の高まりなどからやや上昇し「薄日(順調)」となる見通しです。これまで半導体市場は低迷していましたが、中国の半導体市場への投資が活発化していることが背景にあります。
 非製造業では、現況は「曇り」が多い中、「民間工事」は、新築住宅で安定的な着工戸数が見込まれるほか、小売りや福祉業界を中心に建設投資が堅調なことから「薄日(順調)」が続くとみられます。また、「自動車販売」は、モデルチェンジに伴う新型車効果に期待できることから「やや上昇」の見通しとなる一方、「大型小売」は「小雨(低調)」が続く見通しです。
  なお、同時に行っている調査の「業況判断DI」(業況が「良い」と回答した企業割合と「悪い」と回答した企業割合の差)をみると、全産業で10-12月期の△10.1から、1-3月期は△18.1%と低下する見通しとなっていて、先行きへの慎重姿勢が続く見通しです

先行きへの慎重姿勢は続く見通し

  先行きに対する慎重姿勢が続く理由の1つに、米国のトランプ新政権の不透明な政策対応の影響があります。
  当研究所は上記調査の中で、「トランプ米大統領の就任に伴う自社への影響」について、尋ねています。自社の経営への影響を「プラス」と回答したのは9・3%、「マイナス」は12・4%、「分からない」は54・9%となりました。半数以上が「分からない」と回答していることからも、企業は先行きに対する不透明感が強いことがうかがえる結果となっています。
   また、プラス、マイナスと回答した企業で影響する項目として、「円安」の動きに注目している企業が多くなっています。トランプ政権の政策次第で為替が大きく動く可能性もあり、急激な変動を抑えたい県内企業にとって不安要因になっているものと思われます。
   今後、米国の政策の行方とその対応を見極めるにはしばらく時間を要する可能性もあり、先行きに対し慎重な見方が続くことが予想されます。  

(初出:2017年3月8日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

 

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