先行きに対する不透明感拭えず、慎重姿勢続く県内企業

印刷

最終更新日: 2016年11月9日

県内主要産業の天気図は、17種中14業種が「曇り」

    当研究所は、四半期ごとに長野県内の業界の景況感を調査するため、県内企業約140社を対象に「産業別四半期見通し調査」を実施しています。今回は10月調査の結果についてご紹介します。
本調査は、企業へのアンケート調査とヒアリング調査をもとに、県内産業の「現況」と「見通し」を天気マークで表しています。「晴れ」は「好調」、「薄日」は「順調」、「曇り」は「普通」、「小雨」は「低調」、「雨」は「不調」を表します。
 産業別にみると、製造業は7-9月期の現況、10-12月期の見通しとも、すべての業種が「曇り」となっています。「工作機械」、「自動車部品」などは米国などの自動車向け需要は底堅いものの、先行きの不透明感に加えて、円高基調の持続を警戒し、先行きに慎重な企業が増えています。「電子部品」もスマホ向けなどで需要はやや持ち直したものの、為替要因などから「曇り」の状況が続きそうです。
 非製造業でも、現況は「曇り」が多い中、「ホテル・旅館」は、真田丸やインバウンドによる下支えもあり、全業種中で唯一「薄日」となっています。10-12月期は真田丸効果の落ち着きなどから伸びは鈍化しますが、秋季行楽シーズンを迎えることへの期待もあり、「薄日」を維持する見通しです。

低迷が続く消費の動き

    今回の調査では「曇り」の業種が多くなっていますが、気になる点としては、内需の柱である個人消費関連の産業の弱さが目立つことです。「大型小売」や「自動車販売」は、ともに天気マークが「小雨」となっています。「大型小売」では、猛暑の声も聞かれ夏物商品の売り上げ増加への期待もありましたが、天候不順などの要因もあり、現場の声には厳しいものがあります。また、その背景に賃金が伸び悩む消費者の節約志向が見え隠れしていて、これが先行きに対する企業の慎重姿勢につながっているとみられます。 

注目される政府の経済対策の行方

    こうした中、政府は平成28年度第2次補正予算をとりまとめていますが、消費に関しては即効性のある対策は見当たりません。そうした中で注目されているのが、来年2月から始まる「プレミアムフライデー」です。これは月末の金曜日に消費を喚起するための全国的な宣伝活動を実施するもので、企業の定時前の退社奨励に併せて、大型店や飲食店などは、従来より良いモノやサービスを消費者に提案していくなど、働き方改革との相乗効果にもつなげるねらいがあるようです。
 政府は、モノの消費だけでなく、金曜日と土日を合わせた旅行など「コト消費」を喚起したい意向です。今後、官民が協力して進めていく取り組みに注目したいと思います。金曜夜からの旅行を通じて長野県をアピールし、県内観光のきっかけ作りにもしていきたいものです。
 

(初出:2016年11月8日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

 

関連リンク

 

このページに関するお問い合わせ

産業調査

電話番号:026-224-0501

FAX番号:026-224-6233